2話 これからのこと
ここはどこだろう・・・
身体の感覚がない、何も感じない、何も無い、真っ白な空間、でもどこか暖かくもある不思議な場所。
そんなことを考えていると目の前に光が集まる?というか変なモヤが集まっていくように感じた。
それが5秒ほど集まり目の前で弾けた。
「どーも!! 猫の神様であり! 全神様のアイドル! ニールちゃんだにゃ! よろしくにゃ〜」
目の前で光が弾けたと思ったら“ナニカ”が出てきた。
“ソレ”は猫耳の生えた美少女? 美少年? のように見えた。
「ちょっと“ナニカ”とか“ソレ”とかじゃなくてニールちゃんだにゃ〜?」
ニールちゃんらしい。
「そうニールちゃんだにゃ! 単刀直入にいうと貴方は死んでしまいましたにゃ〜!」
そう言うとニールちゃんは深深とお辞儀をした。
なんとなくそんな気はしていた。元々長くないと自分でも分かっていた。
「なら話は早そうだにゃ! ニールちゃんのお仕事が楽でありがたいにゃ〜!」
『それで僕はどうなるのでしょうか?』
とにかくそれだけが気になった。願ったことがもしかしたら叶うかもしれない、それなら嬉しい。
「お〜お〜気持ちはわかるけど話を焦らせないでほしいにゃ〜とにかく貴方のこれまで至るまでの状況を説明させてほしいにゃ!全くこっちにもマニュアルというものがごにょごにょ」
そう言うとニールちゃんの手にさっきまではなかった本が手に握られていた。
よく見ると手は猫の手で立派な“肉球”が付いているではないか! 後で嗅がせて貰えないだろうか。いや嗅ぐ! 肉球の香ばしい匂いは病みつきになる、恐らく・・・多分・・・いや確実にそういう物質が分泌されているのだろう。
「今どきの人間は変態だにゃ〜」
とニールちゃんは目を細めてまるで変態を見るような目でこちらを見てきた。
『何が悪い・・・』
ニールちゃんはため息をついて、可愛い肉球で本を開くとニールちゃんは何か“悩んだよう”に読みこんでいる。
どうやって本をめくるのだろう・・・分からん。
「にゃほん! にゃ〜とお名前は楠木 日向さんであってますかにゃ?」
『合ってます!ところで肉球を嗅がせ』
「嫌です」
肉球は断固として嗅がせてくれないらしい。
「え〜次に年齢は17歳、趣味は・・・猫吸
い?・・・にゃんとにゃく分かりますが、にゃんですかこの猫吸いというのは?」
さっきは肉球に興奮して気づかなかったが、なるほどあの本には僕の個人情報が全部入っているのか・・・
まさか猫吸いまでバレているとは!
『神様にそこまで言われたら説明せざるを得ませんね! 猫吸いとは猫好きなら誰でもやっている行為のことで、猫のお腹に顔を埋めて匂いを嗅ぐ行為です! 同時に元気を貰っております!』
「・・・にゃるほど分かりました・・・」
ニールちゃんは何か呆れているような様子を見せている。何に呆れているのだろう。分からない。
「次に死因ですがこれはちょっと“特殊”で真剣な話にゃのでちゃんと1回で聞くにゃ」
先程までの呆れたような様子が一切無くなり真剣な表情になったニールちゃん。
「貴方の暮らしていた地球、管理番号A26…まぁここはどうでもいいにゃ。地球はとても優れた文明を築くように導かれて造られた神達の傑作の星なんだにゃ〜」
築くよう造られた? 傑作の星?
『それが僕の死因となんの関係があるのですか?』
「先程話した通り傑作の星であると同時にデメリットもあるにゃ、格差にゃどによる負の感情から発生する瘴気の量が異常なんだにゃ〜」
負の感情? 瘴気? 何を言っているのか全く分からない。
「そこで星が瘴気でパンクするのを防ぐために逃がす必要があるにゃ、でも瘴気は直接逃がすことが出来にゃいにゃ。そこで一定の範囲の瘴気を1人の人間に集めるにゃ、地球全体で15人、日本は他の国より発生率が高く3人の人間に集められるにゃ。」
つまりその3人のうちの1人が僕であると? なんで僕なんだ?なんでそんなものが必要なんだ?なんで
「落ち着くいてくださいにゃ日向さん、まず選ばれる理由は精神の器が大きいことだにゃ。 」
精神の器が大きいこと?なんの事?
「精神の器が大きい人間は瘴気を耐える力が強く、より沢山の瘴気を集められるにゃ・・・」
ニールちゃんに先程までの元気な表情はなく、とにかく申し訳なさそうな表情でいっぱいだった。
猫好きな僕としては猫耳が生えた神にそんな顔をされてしまっては許すしかなくなる。
「本当に申し訳ないにゃ、でも本当ならもっと早く死ぬ予定だったのも事実だにゃ」
もっと早く死ぬ予定? 17歳で死んだのにもっと早く死ぬ予定だったのか。
『なんで遅くなったのですか?』
「抗議があったにゃ」
抗議があった?
『誰からですか?』
「モコちゃんにゃ〜」
モコ? あのモコ? 僕が拾ってきた愛猫?
「そうにゃ、猫には元々ニールちゃんと会話する力が備わってるにゃ、まぁ相当祈らないと無理にゃんだけどね。」
その言葉に衝撃を受けた、自分の大好きな猫が自分のために抗議してくれるなんてそれだけで嬉しかった。
「猛抗議だったにゃ〜よ、別の人に変えられませんかとか、私を拾ってくれた優しい人なんですとか、私ではだめですか? とか、最終的には君と一緒に瘴気を受けるとか言い出して、数年間君の代わりに瘴気を受け続けたにゃ、だから大分遅れたにゃ」
『・・・それでモコはどうなったんですか』
「死んだにゃ〜よ、君が死んだ数日後に。元々猫に耐えられるものじゃにゃ〜しね」
涙が止まらなかった、自分のためにそこまでやってくれて、嬉しい気持ちもあるがそれよりも悲しい気持ちでいっぱいだった。
「呼ぶかにゃ〜?」
『呼べるんですか?!』
「呼べるにゃ」
モコを呼べるらしい、会えるならいつでも!ぜひ会いたい!
「にゃら呼ぶにゃ」
ニールちゃんが手を叩くと僕の目の前に光のモヤが集まる。
するとそれが弾けて目の前にクリーム色の長毛が広がった。
「ニャオン」
モコだ、記憶の中にいるモコだ、死ぬ前には薄らとしか見えなかったが、今はハッキリと見える! いつも通り可愛い、すごく可愛い。
「にゃ〜再会のところ悪いんだけどこれからの君たちのこと説明させてもらうにゃ〜」
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