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愛する猫と異世界へ  作者: 絵濡亥 家尾
1章 異世界で初めての街
16/80

16話 遭遇

 クエストの日の夜、冒険者ギルドに行くと、他のクエスト参加者が冒険者ギルドの前に集まっていた。


「さて、みんな集まった事だし、行こうか!」


 ベルンさんに引き連れられ、僕達はタナシバの街近郊の森に来た。


 夜の森に来たのは、初めてだが空気が澄んでる気がする。しかし、あまりにも視界が悪い、ほとんど何も見えたもんじゃない。

 モコも隣を歩いているが、何かソワソワしている様な気がする。


「ライト」「ライト」


 アナリアさんとナタリーさんがライトと唱えると、周りに光の玉が浮かび上がり、ポゥと明るくなった。


「ここでクエスト内容をもう一度確認する

 今回は活性化した魔物の討伐及び撃退、またタラティマンティスに遭遇した場合は討伐及び撃退をする事。」


 ベルンさんがみんなに確認をする。


 森を歩いて15分くらい歩いていると、トールさんがアイテムボックスから槍を取りだし、何かを警戒している。


「もう来たみたいだぜ!ヒナタ、モコちゃん後ろに下がってろ!」


 トールさんは僕達を守るように、前に立ってくれる。

 僕もアイテムボックスから短剣を出す。モコもいつでも変身できるように構えている。


「陣形をしっかり保て、恐らくダークウルフだ!!」

「数は大体、12━━」

「いや14だ」


 ベルンさんの言葉で陣形を組むと、サインさんがダークウルフの数を伝えようとするがその上からトールさんが正しい数を言い直す。


 その後は、凄かった、とにかく凄かった。


 ガリスさん、トールさん、ライガンさん、ベルンさんが前に立ち、敵を引き付け、サインさんとナタリーさんが打ちこぼした敵を倒し、アナリアさんとセリアさんは魔法で援護にまわっていた。


 僕とモコの出番は無かった。正直安心した。流石は高ランク冒険者だと思った。


「ヒナタ〜離れるなよ〜」


 トールさんに呼ばれて近くに寄る。


「ヒナタよ、こんな暗い夜にはどんよりした気持ちになるだろ、いい事を教えてやる」


 トールさんが耳元に小声で囁く


「楽しいところに連れてってやる」


 トールさんはとてもいい笑顔でそう囁く。

 良いのか、僕はまだ未成年だぞ・・・良いのか・・・猫カフェなんて・・・


「なんだその鼻の下を伸ばした顔は・・・まぁ良いか、とにかく無事に帰るぞ」

「はい!」


 恐らくトールさんは僕のことを思って、こういう話をしてくれたのだろう。


 そう考えていると、モコがいきなり変身して警戒を始めた。


「グルルルルル」


 周りのみんなもモコの異常に気づいたらしく、警戒状態に入る。

 ここまで来れば僕にも分かる、奇妙なオーラのような空気が漂う。


「魔物の種類は!?」


 ベルンさんの問いかけに答えるように、奇妙なオーラの主が目の前に現れる。


「キシャシャ」


 目の前に腕が4本、脚が6本ある、黒色の大きなカマキリが姿を見せる。

 ここまで来れば言わなくても分かる。こいつがタラティマンティスだ!


「恐れるな!十分な戦力がある!陣形を崩すな!」


 ベルンさんが鼓舞するとみんな、陣形を形成し、すぐにでも攻撃できるようにタラティマンティスに集中する。


「キシャシャシャ━━━━」

「ガァルルルル」


 タラティマンティスの鳴き声と同時に別の生き物の声が聞こえた。モコでは無い別の獣の声が。


「キシーー」

「ガルルァァァァ」


 次に鳴き声が聞こえた時には、タラティマンティスにはもうオーラが無くなっていた。


 代わりにタラティマンティスを咥えている、空間をもねじ曲げたかと思えるほどの圧倒的なまでの威圧感を放つ獣。

 この場では、何人(なんぴと)たりとも動くことを許されないほど恐怖を本能に刻み込まれた。


 黒の中に赤く線のように生える体毛、緑と紫に光る瞳。絶望的とも言える圧倒的オーラ。


 みんなが言葉を失って立っているのを横目に僕はこの生き物を“綺麗だ”と思ってしまった。


「ガルルァァァ!!!!」


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