15話 自分に合った武器
朝起きて、宿の食堂へ行くと、トールさんが既に待っていた。
「おう!ヒナタおはようさん」
「おはようございますトールさん」
軽く挨拶を済ませて、トールさんと今日行く鍛冶師の話をしていると、カールさんとアイちゃん隣に座ってきた。
「ヒナタさんおはようございます」
「お、おはようございます」
「カール、アイちゃんおはようございます」
「そちらは、ヒナタさんのお知り合いですか?」
カールとトールさんは初対面らしいのだが、両者持ち前のコミュ力の高さで、すぐに仲良くなっていた。
カールと別れたあと、宿を出て、トールさんに連れてこられた、鍛冶屋はとても奥まったところにあった。
外壁はツタで覆われていて、外の置き看板には【トールお断り】と文字が入っていた。
いやほんとに何したのこの人。
「よし!ヒナタ入るぞ!」
「大丈夫なんですか?お断りって書いてありますよ!?」
「大丈夫大丈夫〜」
初めて入る鍛冶屋さん、僕もまだ17歳だから正直ワクワクしている。
トールさんに言われるがまま中に入ると、中は綺麗に整えられていて、素人の僕でも分かるくらいに強そうな武器が並べられている。
「おーい!タリバのじじぃ〜来てやったぞ!!」
とトールさんが大声で呼ぶと、奥から背が小さく、髭を伸ばし、太り気味のザ、ドワーフと言う感じの人が出てきた。
「トール!とうとう来たな!今日こそは金を払えよ!!」
「え〜まだ大丈夫でしょ?」
「それはワシが決めることだ!!今すぐ全額耳を揃えて払え!!」
「今日は俺の用事じゃないから今度な〜
ところでヒナタに武器を見繕ってくれよ〜」
そういうと、タリバと呼ばれた人がこちらを見てきた。
「初めまして、ヒナタと言います。こっちは猫のモコって言います」
「にゃん!」
「お、おう、わしはタリバ、まさかトールの連れてくるやつにまともに挨拶が出来るやつがいるとは、驚いた」
いや、トールさんマジでなにしてんの?
「まぁトールの連れだがいいだろう!まともに挨拶が出来るなら金も多少は払えるだろう。さてどんな武器が欲しい」
武器を今まで持った事がないからどんなのが良いのかが分からない。
「あ〜さてはお前武器持ったことないな?」
「実はそうなんです、なんで分かったんですか?」
何故バレたのだろう?
「まぁほとんど勘だな!その傍にいる猫━━」
「モコ」
「ん!んん!モコ、実は相当強いだろ。」
「にゃ!」
猫じゃなくて名前で呼んで欲しい。
しかし、よく強いと分かったな。なにかそういう加護とかスキルがあるのかな?
「う〜ん武器を使ったことがないとなると、癖の少ない方がいいだろう。
しかも、お前身体が小さいから、トールみたいなもんは無理だろう。
となると〜」
タリバさんは奥に行って、何かをゴソゴソ漁っている。
「こいつが無難だろ!」
そう言われて出された物は、短剣だったが、刀身の中心部に魔石がはめ込まれてあった。
「まぁ、小柄で、武器を持ったことがないとなると、これが癖がなくていいだろう。下手に大剣やトールみたいに槍を持つと、周りの邪魔になったりする可能性がある。
しかもこの短剣は、魔力を込めると刀身が再生するんだ。だから刃こぼれも気にする事はない。
もちろん!切れ味は保証する!」
確かに説明されるハッと気づかされる事が多い。
そして刃こぼれがなくて、買い替えなくていいとなるとお得な気がする。
「じゃあ、それにします!」
「まいど!お代は、本当は金貨10枚なんだが、まぁトールの紹介だから7枚でいいぞ」
なんだかんだ言って、タリバさんはトールさんに過去に命を救われたことがあるらしく、未だに恩を感じているらしい。
なんだただの仲良しじゃないか。
金貨7枚をしっかり払って、トールさんとお店を後にした。
「よし!じゃあクエストは明日の夜だ!それまではきちんと身体を休ませておけよ!」
「はい!今日はありがとうございました!」
そう言ってトールさんと別れた。
そういえばなんで夜なんだろう?なんか理由があるのかな?まぁいいか。
とにかく準備は整ったから明日の夜に備えてモコと美味しいものをいっぱい食べて、ゆっくり休もう!
「モコ!何か食べに行くか!」
「にゃん!」
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