12話 初めてのクエスト
奥の部屋へ入っていくと、応接室のようだった。
「あ、どうぞお座り下さい」
イケメンに誘導されるがまま座ってしまった。
しかしなんで、奥の部屋に招かれたんだろう?
「あの〜なんで僕は呼ばれたんですか?」
「その前にまずは自己紹介をさせてください。
僕は、このタナシバの騎士団、副騎士団長をやらせてもらっています。
ハイツ=ベルンと言います。よろしくお願いします。」
「じゃあわしも、ここのギルドマスターのブグジロウと言う、よろしくのぉ。
まぁ呼び方はなんでもええわトールの馬鹿なんかは、じじいとか言うしのぉ、ハッハッハ」
ベルンさんにブグジロウさんか、なんだかギルドマスターは楽しそうに話してるな。この性格が冒険者達に伝染してるのかな?
「どうも、僕の名前はヒナタと言います。お願いします。こっちの子はモコって言います。」
「にゃ!」
モコは右手をあげて返事する。
「さて、まず君を呼んだ理由を簡潔に説明すると、
君の力を貸してほしい。」
ベルンさんはこっちの目を見てそう言う。
しかし力を貸すって言ってもなんでだろう?
「なんでだろうって顔だね。それが正しい反応だ。
知らないかもしれないが、最近ここら辺の魔物が活性化を始めているんだ。現に街の近くにも魔物が来ることが多くなっている。
それだけなら正直、問題ないんだが、“タラティマンティス”の目撃情報があるんだ。」
「そこで、騎士団が冒険者ギルドに依頼を頼むためにベルンがここに来たのじゃ。」
聞くとタラティマンティスとは馬鹿でかいカマキリのような魔物で魔法を使うらしい。
なるほど、事情は分かったが他にも冒険者はいるだろう。なぜ僕とモコなんだろう。
「なぜ、僕達にそんな話をしてきたのですか?他にも強い冒険者はいるでしょう、しかも僕はさっき冒険者登録したばかりですよ?」
「それがじゃのう・・・今いる高ランク冒険者は、トール1人、パーティだとガリスの所の5人しかいないんじゃ。
もちろんその6人にも声をかけてあるのじゃ、しかし6人だとしても心もとない。
そこでさっきモコちゃんの変身姿を見て、ヒナタくんに声をかけたんじゃ」
なるほどなぁ、でも僕が行くと言ったらモコが戦うという事になるだろう。気が乗らない。
僕が悩んでいるとベルンさんが口を開いた。
「もちろん、無理して戦わなくても大丈夫なんだ。ただ!“もしも”の時の戦力としてだけでもお願いしたい。」
「わしからも頼む」
ベルンさんとブグジロウさんが頭を下げてきた。
正直受けてあげたいのはやまやまなんだが、、、
「にゃあ」
大丈夫だよと言わんばかりにモコがこちらを見てきた。
「受けてもいいの?」
「にゃん!」
モコが大丈夫なら受けようと思う。だが条件をつけさせてもらいたい。
「受けさせてもらいます」
「本当かい!?ありがとう!」
「けれど!モコが危険だと僕が判断した場合は、すぐに逃げさせてもらいます。」
「それでもいい!ありがとう!」
「わしからも礼を言う」
ベルンさんが手を握って来る。
僕が参加しない事で、もしもの事が起こった時にトールさん、ガリスさん達に何かあるのでは嫌だ。
詳細な依頼内容は明日知らせるから、明日またギルドに来てくれと言われた。
今日はそのまま帰してもらうことになった。
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