1話 始まり
「ニャーニャー」
猫が鳴いてる声がする。
猫が身体を擦り付けて来る気がする。
薄らと目を開けて見るとクリーム色で長毛の猫がいた。
この猫の名前は【モコ】自分が幼い時、両親に駄々をこねて拾ってきた猫だ。とても可愛い、すごく可愛い。肉球が愛らしい。
「ニャーニャー」
そんな悲しそうな声で鳴かないで・・・
確かに長くは生きられなかった。
けれど決して不幸ではなかった。
中学までは普通に生活していたし、友達と遊ぶことも多かった。しかし高校入学してすぐ“謎の病”にかかり病院生活になった。
けれど病院生活になってからも友達がお見舞いに来たりしてくれて寂しいなんて思う事はなかった。両親もモコも毎日のように来てくれて本当に嬉しかった。
けど同時にある想いが強くなっていった。
『一緒に帰りたい』
そう思うのも今日で終わりのような気がする。
お父さんとお母さんの泣き顔が目に入る。
もう手すら動かせない。
猫を撫でてあげることも、両親の手を握り返すことも出来ない。
願わくば来世は健康的な身体で・・・猫とまったり旅がしたい・・・
ここで僕は意識を離した。
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