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和製イージーライダーの旅日記  作者: 広瀬修一
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雨の旅立ち


1971年7月1日

出発のときが来ました。


心配そうに見送る母をあとにして、20歳の私は三重の実家から北海道への長い

旅へのスタートを切りました。


しかし行く手には今にも降り出しそうな梅雨空が広がり、志摩から伊勢に

抜ける峠越えの伊勢道路で早くも雨が降ってきてしまい、これからの困難な

行く手を示すかのようでした。


伊勢から北上し、津を通り関に出て国道1号線に合流、鈴鹿峠を越え栗東から

琵琶湖の東岸沿いに北上、福井県は一度来たので宿泊予定の

金沢ユースホステルへひたすら向いました。


「トヨタ」の寮で一緒だった「M」氏が、別れた嫁さんや娘さんと再び一緒に

暮らすことになり、荷物を富山に送ってあげたら

「こちらに来るのなら是非寄ってくれ、お礼がしたい」

ということなので立ち寄ることになり富山までの最初の2泊はユースホステルに

予約をいれておきました。



7月2日

昨夜からの雨がさらに強くなり、その日は朝から石川県には大雨洪水警報が

出ていて、ユースホステルの近くにある金沢兼六園も雨に煙っている。

それを横目に見ながら北上して、その日はゆっくり能登半島をめぐり穴水の

ユースホステルに泊まる予定でした。


土砂降りの雨の中を走っていると雨カッパを着ているにもかかわらず、尻から

水がシミてきて、さらに能登半島を一周する国道249号線に入るとエンジンの

パワーが落ちてきて、とうとう羽咋の市街地を抜けたあたりから片方の

エンジンが止まってしまいました。


ほとんど前が見えないので雨宿りが出来るところを探すのですが、家一軒

見当たりません。


仕方なくだましだましのろのろと走ると遠くに一軒の家が見えて来て、近づくと

「スズキ」の看板が見えました。


「天の助け」か、そこはオートバイの修理販売の店だったのです。


さそくオートバイを見てもらい、タオルで体をふいていたらあちこち濡れている

ことに気づきました。


どうやら繊維質で出来た雨カッパはオートバイに乗って集中的に雨を浴びると

シミてくるようです。


オートバイの方はプラグに火花を飛ばすディストリビューターが湿気にやられた

みたいで、交換する部品が無いということで、ドライヤーで乾かしてもらい

プラグは予備と交換しました。


雨合羽のことを話すとわざわざ近くの農協まで連れて行ってくれて、農作業で

使う雨合羽を買うことにしました。


完全防水なのですが、見た目が悪いので重ね着することにしました。


富山市にある「ヤマハ」の営業所に寄って一度詳しく見てもらう事を

勧められました。


雨も小降りになり、いろいろ親切にしてもらったので、ていねいにお礼を

言ってそこを離れました。


しかし、雨は一向に収まる気配がない、このまま能登半島に向かっても景色も

見えないだろうし、再びエンジンが止まる恐れがあるので断念。


時間が早かったので、電話で確認してから穴水のユースホステルに向かった

のですが、途中には冠水している場所もあり、迂回してなんとか

ユースホステルにたどり着くことができました。

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