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第41話 怪しい物と書いて怪物

 ビーラック園

 街の東側にある小さな植物園だ。

 元々は貴族の庭園だったものを改装したものらしい。

 無料で解放されているが客足は少ない。


「というか改めてエルマーに婚約者がいたとはなぁ……」


「そうだね、てっきりボクもあっち系の人と思ってた。」


「俺も姉ちゃんがあいつと結婚するって言った時は頭がおかしくなったのかって思ったよ。だけどすっげー優しくていい奴なんだ。なのにさ……」


 ジョゼはエルマーの対応に納得いかないようで口を尖らせる。


「大丈夫。姉ちゃんは俺が見つけてやるからさ。」


 植物園の中を進んで行くとジョゼが脚を止める。


「ここだよ。ここで姉ちゃんはウツボーンみたいな怪物に攫われたんだ。」


「ウツボーンが植えてあるね。」


 その場所には紫色のウツボカヅラっぽい植物が植えられていた。

 何と言うか毒々しい色だな。


「なあ、リゼット。これ毒とか持ってないよな。」


「まあ、毒々しい色してるけど人間には無害だね。甘い香りで虫を袋に誘い込んで溶かして食べちゃう植物なんだ。」


 うん、色以外はウツボカヅラの仲間だな。

 そして当然ながら人間を攫っていくほどの大きさは無い……が。


「土の上に足跡があるな。引きずった跡もある。」 


 まあ、明らかに人間の足跡なんだが追ってみる価値はある。

 追跡を開始しようとした瞬間。


「危ないっ!!」


 俺はジョゼを抱きかかえリゼットの首根っこを掴むと後ろに飛んだ。


「ふぎゃっ!お、お兄さんいきなり何を!?ってあれ!?」


 先ほどまで立っていた場所には謎の液体がかかっており湯気を立てている。


「探すまでもなくあちらから来てくれたみたいだな。」


 視線の先、植木の間を動く影がある。

 それは明らかに人間大の大きさであった。

 そしてそれはゆっくりと姿を現す。


「うぇぇぇっっ!?」


「あれだよ。あいつが姉ちゃんを攫ったんだ。」


 毒々しい紫色の体躯。

 特徴的な袋状のボディの上を覆う巨大な葉の蓋。

 まさしく巨大なウツボーンなのだが……


「うわぁ……」


 思わずため息が出てしまった。

 巨大なウツボーンには手足が生えていた。

 それも明らかに人間の手足と思しきものが。

 何と言うか出来の悪い着ぐるみみたいなそんな異質さが漂っていた。


「リゼット、一応確認させてくれ。ああいう生物は……」


「見たことない!あんな気持ち悪い生き物見たことないよ。」


 良かった。

 やっぱりデフォルトで珍しい生き物だったか。

 あんなのと森を歩いていて出会ったらトラウマものだ。


「気持ち悪い?フフフ、失礼な奴よ。」


 気持ち悪いウツボーンもどきが声を発した。


「喋った!喋ったよお兄さん!!」


「ああ、そのようだ。だがどこにあの体のどこに発声器官があるんだ……?」

 すると上部の蓋が開く。

 その下には人間の頭部が見えた。


「フハハハ、ここだよ。」


「「「キモッ!!!」」」


 3人同時に声を上げていた。

 何だよこの悪夢みたいな光景は。


「あ、あいつ姉ちゃんに言い寄ってた気持ち悪い冒険者だよ!」


「ハハハ、失礼極まりないな。俺にはベルグという素晴らすぃー名がある!!」


「ジョゼ、確認させてくれ。あの気持ち悪い男はあの格好で姉ちゃんに言い寄っていたわけではないよな?」


「そ、そりゃさすがに普通の人間の姿してたよ……」


 良かった。

 あれがデフォルトの姿だったら気持ち悪いを連呼しすぎるのも失礼すぎると思ってしまってな。そういう種族とかいう可能性もあったわけだしな。

 いやほら、種族差別とか嫌じゃん。


「おい、そこの気持ち悪いの。」


「ベルグだ。覚えたまえ。」


「気持ち悪いベルグ。その姿は何だ?見た感じ着ぐるみの類では無さそうだ。それにあの謎の液体は何だ?後、攫った女性は何処に行った?」


「そんなに一度に次々と質問を並べられても困るなぁ。だがこの素晴らしい姿に興味があるようだな。教えてやろう。」


「君、美的センスおかしいよ……」


 リゼットがため息をついている。

 非常に同意だ。


「ネージュはこの俺の素晴らすぃー求婚を無視し続け挙句あんな気持ち悪い見た目のギルド職員と婚約しやがった。」


「いや、見た目についてはお前が言うなよ……」


「力は奴の方が上だ。俺はネージュを無理やり横取りされてしまったわけだ。どうしたらネージュを救えるか俺は悩んださ。そんな時だ!俺に力を授けてくれた方がいたのだ。」


「フル無視だよ。お兄さん、こいつかなりメンタル強いよ!」


「その力によって俺はこの姿を手に入れた。ウツボーンの力を身に宿し一体化したこの力をな!!」


 悪魔の呪いとか言うやつか?

 獣化魔道具の類?

 否、何かが違う。

 そういった類のものとは違う何かを感じる。

 だが思うのは……


「お前、その気持ち悪い姿には疑問を感じなかったのか?」


「ハハハ、何が気持ち悪い。これぞ進化した新人類レギオンだ。」


 レギオン……確かラテン語か何かで『軍団』を意味する単語だったな。

 悪霊だとかそういうものの総称でも使われていた気がする。

 まあ、進化と言えば進化なんだが……


「見た目がなぁ……」


「見た目がねぇ……」


「気持ち悪いの!姉ちゃんを返せ!!」


「やかましい!ネージュは俺の花嫁だ!俺達はこれから式を挙げるんだ。でも参列者がいないからこうやって適当な奴を見繕うためにスタンバってたら貴様らが来たわけだ。」


 まあ、薄々感じてはいたけど……こいつ馬鹿だな。

 ついでに言うと参列はしたくないな。


「悪いがその式はキャンセルだ。リゼット!」


「うん。この気持ち悪いのを叩きのめしてネージュさんを助けるよ!!」


 俺は拳を、そしてリゼットが鍵を構えた。

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[一言] VS『怪奇!ウツボ人間!!』
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