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第95話 3人の最初

今回は少し短めです

 メイシーです。

 最近妹に恋人が出来たようで喜ばしい限りです。

 さて今回は……


――ベリアーノ市・第3区レム屋敷――


◇リゼット視点◇


 その日、ボク達はある事を祝ってリビングで女子会をしていた

 中央に置かれているのは懐かしい焼き菓子『シャルール』。

 コランチェを発つ前の女子会でもこれを出していた。

 それは、メイシーの何気ない一言で始まった。


「そう言えばアンジェラとリゼットって、どっちの方が先に彼を好きになったんでしょう?」


 ボクとアンジェラは顔を見合わせる。

 ちなみに最近、メイシーがボク達を呼び捨てにするようになった。

 家族なのだしいつまでも他人行儀はどうだろうかとボクとアンジェラが提案した結果だ。

 メイシーも『それもそうですね』と納得し、数日間呼び方に苦戦しながら今に至る、


「アンジェラじゃないの?」


「え、リゼットじゃないの?」


 あれ、とお互い首を傾げる。


「何か、二人共彼と出会った時期はほぼ同じだったんですよね?」


「そうね。というか1日違いだっけ?その頃にはリゼットが男をひっかけて家に連れ込んだって噂が流れきっていたわよね」


 引っかけて連れ込んだ……いや、確かに客観的な事実を述べるとそうなってしまう。

 だけどどこか悪意を感じる噂だ。


「ううっ、セドリックさんのバカ……」


 まあ、お兄さんの態度いかんでは最悪こちらが手を出すという選択肢も最終手段としてはあったけれども……まあ、それでもボクの性格上無理だったろうな。


「とりあえずお兄さんを家に招待した段階ではそういう感情は微塵も無かったと思う。むしろクマと戯れるヤバイ人って印象だったよ」


 そう言えばあのマッチョベアー達はどうしているだろう。

 お兄さんは『離れていても心は通じている』とか言っていたけど……

 やっぱりクマと友情を育むってヤバイ人だよなぁ……


「あたしはお姫様抱っこして岩山を駆け抜けた時にドキッとしていたから多分あの辺が始まりだと思う。それで彼のおかげでお母さんが助かったのもあったからなぁ。その頃には完全に好意を抱いていたと思うわ」


「うーん、ボクがお兄さんを恋愛対象として意識しだしたのっていつくらいだろう?」


「あたしがお姫様抱っこされてる時、ちょっとムスっとしていたじゃない。という事はリゼットが先になるんじゃないの?」


 え、マジで!?

 ボクそんな嫉妬とか出来る子だったの!?


「あれってどうなんだろうなぁ……あの段階ではお兄さんを利用することばかり考えていたからなぁ。だからあれはボクの中でも微妙なラインかな。あー、でもアンジェラが死ぬ運命を叩き潰してくれたあの瞬間には意識し始めたのは確かかな。まあ、その事に気づくのに大分かかったけど……」


 ディギモに指摘されるまで明確に気が付かなかったからなぁ。


「なるほど。そこがほぼ最初からナナシさんに好意を抱いていたアンジェラとの差だったわけですね。という事は最初の段階でリゼットがナナシさんへの好意を自覚していたらもしかしたら……」


「どうかな。あの時のボクはイリス王国を救うって使命に縛られていて周りが見えてなかったからね。やっぱり結果としてはアンジェラが勝っていたと思うよ」


 これは正直な感想だ。

 アンジェラは最初から一貫してお兄さんへの好意を主張し続けていた。

 今こうやって家長になっているのも納得だ。

 ボクがアンジェラの立場だった場合こんなうまくいかなかったと思う。


「そういうあんたはどうなのよ?」


「というか間違いなくメイシーはお兄さんに微塵も興味ない感じだったよね」


「私は何というか空回りするアンジェラさんの好意を見ているのが楽しかったですからね」


「うっ、そんな空回ってた?」


 まあ、あの段階では確かに。

 概ね超鈍感なお兄さんのせいだとは思う。

 後で聞いたらあの人、全く気付いてなかったから。


「私が彼を好きになったのは……そうですね、やはりオーガスの一件でしょうかね。間違いありません。最初はむしろ好感度は低めでしたがあそこで爆上がりしました」


 お兄さんの根幹にある『手を伸ばす』という考え。

 思えばアンジェラを助けようとした時もそれだった。


「まあ、お兄さんとメイシーとの出会いってねぇ……」


「本当にあれは衝撃的でした。人の家で放尿。しかも目の前でですよ……」


 まあ、出会いとしちゃ最悪になるよね。


「ということは彼の股間を最初に見たのはメイシーってことよね?凄い、一番乗りじゃない!!」


「何だか複雑な一番乗りだね……」


 メイシーも苦笑する。


「まあ、あの時はあの人とこういう事になるとは思わなかったですよ。本当、何が起きるかわからないですね」


 ボクが最初に出会い。

 アンジェラが最初に好きになって。

 メイシーが最初に股間を見た。

 …………うん、何かメイシーがかわいそうな気がする。

 他に何かメイシーの一番乗りって無いかな?


「私が最初に見ましたからね、ふふんっ」


 いや、何か誇らしげだからいいか。

 何でボク達は女子会で夫の股間談義をしているんだろう?

 というかこういう話が出来る様になったというのもある意味ボクらの成長なのかもしれない。


 そしてその中心になっているのはアンジェラ。

 だから、アンジェラが最初にお兄さんと結婚してくれて本当に良かった。

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