プロローグ
主人公「ナツキ」
少しおっちょこちょい
頼りになる
剣士
シーラ
料理が上手い
可愛い
モテる
生意気
セツナ
綺麗
本が好き
橙色の炎が家の骨組を次々と燃やしていく。黒焦げになっていった骨組は、灰となって崩れていった。俺の大切なものが次々と壊れていく。すると俺は深とした呼吸をしながら膝から崩れ落ち、地に手をつけた。
すると俺の瞳から何か生温かいものが出てくるのを感じた。涙だ。確かに涙だった。でもなぜか止まらない。この涙の水滴は頰を伝って地面にぽとんと落ちた。そして心臓の鼓動が止まらなかった。ドクンドクンと鳴っているこれは何なんだろう。この涙と心動は一体何だろう。この感情は、
悲しみと言うものなのだろうか。悲しい。苦しい。そんな思いで、遠くの自分達の家を見つめていた。町の大通りの道で人1人失った悲しみをこんな重いものだと初めて感じた。知らない人が死んでも悲しくないのに、家族を失くすとこんなに悲しいものなんだと初めて気付いた。
俺はその日初めて知った悲しみと言う感情をどう無くせばいいのか分からなかった。
「…きて…お…て…起きて!朝だよ!」
声が聞こえた。目を開けるとそこには妹の姿があった。小金色のショートヘアに青色の瞳。
その姿は誰もを魅了する。まさに最高の妹だ。でも逆に言えば妹には本当に感謝してる。
妹『シーラ』は両親を失くした直前に生まれた。唯一無二の家族は、唯一無二の妹だ。
妹はいつも朝ご飯や家事をしてくれる。そういった面では理想の妹だ。
でも天然過ぎるところと少し生意気なところを入れてみれば、そういった意味では少しやりすぎなところもある。でも料理もできるし、俺がいってはなんだが可愛いし…
まさに理想の妹。感謝の極みだ?そう思いつつ、リビングにのこのこと歩いていくと、
リビングのテーブルの上には妹が作ってくれたと思われる品がテーブル一杯に敷き詰められていた。その品をじっくりと見ると、椅子を引いて、ゆっくりと腰をかけた。
そして「いただきます」と言うとスプーンを手に取った。
今日の朝食はパンに目玉焼きと山菜スープだ。妹は料理には自信があるから、今日の
朝食も楽しみにしていた。スープの前に近づけたスプーンで一口分取り口に含むと、
「今日も美味しい…」と言って飲み込む。そしてごくんと飲み込むと身体中がほっと暖かく包まれる。するとシーラは照れた顔をして「ありがとう…」と言った。その照れ顔は、なんとも可愛らしかった。一口食べると止まらないのが妹シーラの料理。一気にに食べ終わってしまった。
「ごちそうさま」を言って立ち上がると部屋に戻り、学校の準備をし始めた。
この国『アルギヴ帝国』は随一の剣術国家だ。おまけに魔術国家でもある。
俺は剣術学校に通っている。アリブ区私立剣術学校に通っている俺は、
今年で高校3年生となった。父の形見の剣を使っているが、少し重い。それに、その剣には、
謎の紋章が刻まれていた。その事についてまともに調べたことはないが。
それよりも早く学校に行かねばと言う自分がいた。教科書や本を持ち、
それをバッグに詰め込むと、急いで家から飛び出した。
商店街の道を通るといつも通っている学校が見えた。校門まで来ると剣術士や女学生達の
姿がある。いつもと変わらない一日。ただ一つを除いては…
それは皆焦り始めたような顔をしているからだ。すると人ごみの中から声が聞こえた。先生だ。
すると先生の声は大きな声でこう言った。
「1時間前、シルガ王国から襲撃を受けた。場所はルーア区を中心に広がっている!皆逃げろ!」
その言葉に衝撃を隠せなかった。ルーア区。それは俺達の家がある区だ。すると皆が逃げている方向の真逆に足が向き、一気に走り出した。さっき歩いた商店街。そして走り出していくうちに、
家事や馬車の事故。この事に便乗して盗みに働く者までいた。まさに地獄絵図と言っても
過言ではないだろう。恐怖、絶望、悲しい言葉が頭一杯に出てくる。
そしてやっと家に着いたと思ったその時、その光景には思わず涙が出てきそうになる。
俺らの家は黒焦げになって灰と化していた。もう見たくもない。そんな光景が目に映ると同時に、
俺は絶望という感情に陥っていた。この時、俺は過呼吸になるぐらいの悲しみと共に、
ある決心をした。それはもう何も失いたくないと言う思いが、妹を殺したシルガ軍の仇を取る事を
。だってこれは、アルギヴ剣士として、1人の家族として、当たり前の事だから。
マイペースで行こうと思ってます。新一と言います。
宜しくお願いしまーす!