REMEMBERーWorld 4nd Memorialー
幼い世界の誰も覚えていない秘密。
ー4回目の歴史。それは一番「最悪」の歴史の記録。
俺しか憶えてない。
否、『僕以外憶えていてはいけない』。
時計塔の16個の歯車の内の、一つだけ『赤黒い小さな歯車』の記録。
最初の3つの金色と他の銀色の歯車はキラキラと輝いて滑らかに時計塔の針を動かすために動いているけど、その歯車だけは錆びてしまって他の戸比べてゆっくり、ゆっくりと廻っている。
あぁ…思い出したくもない…!あれは唯の地獄だ…!
ー…そうだ、あれは唯一の私のトラウマとも言っても過言じゃない…。
【赫黒い歯車の時代ーREMEMBER】
ずっと昔、まだこの世界が強力な結界に取り囲まれる前の話。初めて自分以外の魂が存在した時。
この世界に一人誰かが入ってきた、まぁ昔から人の出入りが激しいオープンな世界だったし、平和だったからどうという事も無かった…異変に気が付くまでは。
そいつは男性だった。それしかわからない、それ以上思い出そうとすると吐き気がしてくる。
ー「…どちら様ですか?こんな所まで来るとは…!」ー
…その時前代の『愛』は本を読んでいたらしい。自分の書斎で自分が書き上げた愛の本を辻褄があっているか読み返して確かめていたそうだ。目の前からグッサリと、俺には見えていなくてもやられてしまった事はすぐ察する事が出来た。
この世界の管理者は死に花というモノは咲くが、魂はそこにとどまらず、僕の元に『戻ってくる』。微かに桃色に輝くその魂が私の回りを悲しそうに回って、自分の胸の中に入っていった時に初めて異変に気が付いた。
…この世界が壊され始めてる。
正真正銘、この世界に悪が出現したのだ。純粋だったこの世界に何かが生まれた。
今すぐにでも討ちに行きたかった…しかしその時にある理を思い出した。
ー…此処から動けない…!
俺が此処にいる時から、最初からあった理。この白い空間から、僕は何処にも移動できない鎖の封印だ。これがある限り、此処に其奴が来るまで見てるしか無い。
ーこの鎖さえ外せれば…壊せれば向かう事が出来るわ!
今何処まで来ているのかという不安を抱えながら鎖を引きちぎろうと孤軍奮闘していたのを覚えてる…繋がている四肢も引っ張られて食い込んで凄い痛かった。いくら引っ張っても、殴ってもちぎれはしなかった。
どれ位一人で移動しようと頑張って居たのだろう…その間に9つの魂がそれぞれ戻ってきてしまった。そこから暫くは誰の魂も戻ってこなかった。
外の世界にいる自身の片割れ(カノジョ)も応答してくれなかった…いつもならすぐ反応してくれておしゃべりしてたのに…生きてる気配すら薄れていた。
と…。
パキンッ、と鎖が切れた。それも四肢の全ての鎖一斉に。
ー「ごめん薔薇…私、もう駄目だ…ごめんね…。」
息切れる寸前の細々とした声で私にささやき声が聞こえた。
誰の声なのかすぐわかった。
紅い魂がそっと俺の前に戻ってきたのをはっきりと覚えてる…鎖が引きちぎられた手錠を付けたままの手でそっと撫でて、視界がぼやけてきていたのも…。
すっとその魂も胸の中に入っていって、溢れた涙を拭うのに忙しかった。それと同時に抑えがたい感情が自分の奥底から湧き上がって溢れ出そうとしていた。
ー許さないわ…許さない…絶対に許さねぇ…!!
ふと手を見れば黒い液体でまみれていた、頬から伝って落ちる涙も黒かった。
墓場にふさわしい…最高の『ステージ』を用意してやろうと…未だ流れる黒い涙をほったらかしにして立ち上がった…。
彼奴が悪びれの無く、のこのことやってきた。鏡のように映る水面の上を歩いて進んでくる、手には何も持っていない。下を向いて歩いてきた。
僕は泣きつかれてあぐらをかいて快晴の空をみあげていた…その場所だけ黒く淀んで透き通っていない。
ーやっと会えたね…会えるのを楽しみにしてたんだ…。
私は背中に生えた沢山の翼を広げて立ち上がった。頭に黒い薔薇の花を生やし、黄色い上着に紅いリボン結びの袴…黒いヒールに2種類の刀を持って…其奴に向かって振り返った。
「「「「「「「「「「『さぁ、覚悟はできてるんだろうな?』」」」」」」」」」」
…その後はどうにか勝ったことだけは覚えてる。
疲れてしまってそのまま眠ってしまったっけ…多分力尽きて5回目の寿命に移ったんだ。
その時からだろうか、私は生身では無くなっていた。何かしらの事件で『闇』の身体に変わってしまうようになってしまった…。
その時からずっと結界を張って管理させるようにしていた。二度とあおのような輩が入って来れないように。もし入ってこられたとしても一定時間居れば消え去るというのも作ったしもう全員やられてしまうことは無いだろう…。
そして何回かの寿命の境を乗り越えて、平和になった世界を黒く淀んだ世界から見ていて…ふと呟いた。
ー…つまんねえなぁ…。
【創造主が闇に狂った話】
ーいつまでも続く世界の隠された歯車に刻まれた錆びた記憶ー