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第8話 デモンストレーション

「あ、あなた、きらりちゃん??」

「はい!」

と相田さんこと『きらりちゃん』が笑顔で答えた。

僕らは目的の人物にたどりついた。


「なんで、私のこと知ってるんですか?」

と、にっこり微笑むきらりちゃん。

確かにとても可愛い。

自分の可愛さをよく知っている人間の所作だった。


「ああ、相田くんは、佐鳥先生のことは知ってるだろう?」

と佐々木が僕の方を見る。

そして、きらりちゃんも僕の方を見る。

そして見るまでもない、という雰囲気だった。


「はい、もちろん!授業うけたことがあります!」

ときらりちゃんが言う。

そうだったのか・・・。

恥ずかしながら記憶にはなかった。


「え?じゃあ、先生知ってたんですか?きらりちゃんの事」

と、ぐっと近づいて僕の方を見る高崎くん。

近い!近いから!!

なんで黙っていたんですか!という思いが込められている。


「いやぁ、年間何人に教えてると思ってるの?難しいよね全員を覚えるのは・・・」

と僕が言う。

年間だと百人単位だと思う。

だから許して欲しい。


「いや、でも、理系の女子なんて数えるくらいしかいないんだから全員覚えるだろう。常識的に!」

と佐々木が言う。半分冗談で。

でも半分は本気だろう。

佐々木なら全員憶えていても不思議ではない。


「佐々木の常識を世界の常識にしないでくれ・・・」

と僕が言う。

僕がどちらかというと、世界の基準に近いと思うけどな・・・。


「そういえば先生、デモの準備できてますよ?」

とニッコリ笑顔できらりちゃんが言う。

パチっとタブレットの電源をスリープから戻す。

すでにアプリは立ち上げてあるようだ。


「ああ、そうだった。とりあえずやってみてくれる?」

と佐々木がきらりちゃんにお願いした。

高崎くんはメディアアートを知らないみたいだから、見せてもらった方が理解が速いだろう。


「はい、分かりました。お姉さんのお名前をお伺いしてもいいですか?」

「高崎です!」

「ありがとうございます!高崎さん、こちらを見ていただけますか?」

とタブレットに高崎くんを映すきらりちゃん。

まるで、マジックのようなやり取りだ。

デモに慣れているのだろう。

自然に名前を聞くなど細かい心配りがある。


これがこの分野の学生がコミュニケーション能力が高いという所以だ。


「カメラですか?」

と自分が映るタブレットを見て訊ねる高崎くん。

そう、今のところただのカメラアプリに見える。

マジックはここからだろう。


「はい!笑顔になってもらっていいですか?」

「笑顔??」

と言いながらも、高崎くんは笑顔になる。

このスピード感が彼女らしい。

そして微笑んだ彼女は確かにかわいい。


「わー!!すごーい!!」

と笑顔になりながらも驚く高崎くん。


そう、タブレットの画面に

高崎くんが、笑顔になった瞬間に、彼女の後ろから

天使が現れて、キラキラと光った。

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