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第44話 自由に触っていい


「先生!データ揃いましたね」

高崎くんが僕にいう。

あれからしばらくたって彼女の尽力もあってあっというまに全てのデータを手に入れることに成功したのだった。

フットワークと情熱による交渉術であれよあれよと言う間にデータ提供に協力してくれる人を増やしていった。


「うん、大和くん大変だったね」

僕は大和くんの方を向いていう。

さらに今回あっさりできたのはほとんど大和くんの実力と言える。

だいたいの場所はこういうデータ収集を念頭にいれた設計になっているわけじゃなかったので普通だったらできないところだった。


「はい、大変でした。結局すべての場所に行ってAPIを作る必要がありました」

大和くんは何を行なったのかを説明してくれた。

ただデータをもらうわけではなく、動画を持っている、各所のエンジニアと話し合って定期的に送ることのできるシステムを組み上げていた。

1,2行コードを書くだけで繋がるようにしていた。


「さすがだね」

僕がゆっくり頷きながらいった。

これだけのことをできる人はなかなかいない。

頼もしいという言葉以外に何も思いつかなかった。


「めっちゃすごかったんだよ!」

ヒカルちゃんがテンションをあげていう。

彼女は毎日ここにあそびにきながら、大和くんの仕事振りを見て感心しているようだった。

そして、すでにいろいろデータの取り方を大和くんから学んでいるようだった。


「スーパーSREだね!!」

ヒカルちゃんが一般的には聞き馴染みのない単語で褒める。


「ほんとそうなんだよ、大和くんがいないとうちの研究室はなりたたないぐらいだよ」

僕はそう言った。

昨今の実践的なデータサイエンスというのは、こういう部分の方が必要性を高めていて、彼のような人材はとても重宝される。


「恐縮です」

大和くんは小さい声で呟いた。

いかにも理系のエンジニアという振る舞いだった。


「えすあーるいー??」

高崎くんがまた出てきた新しい単語に首をかしげる。

新しい概念が生まれるたびに、新しい単語が生まれるのがエンジニアリングの特徴だ。

クラウドもSREも昔は別の単語の中に内包されていた。


「Site Reliability Engineeringだね。簡単に言うとサーバーエンジニアなんだけど、セキュリティなどにも強い新しい職種だね」

僕が説明する。いまのデータサイエンスにかなり必要な職種SRE。かなり大事な職と捉えられていてIT企業でもかなりの高給取りのイメージだ。


「今のデータサイエンスはサーバーエンジニアリングと密接な関係があるからすごく大事なんだ」

僕が説明する。


「これ自由に触っていいの??」

ヒカルちゃんが僕たちに聞く。


「もちろんいいよ。基本的にはここで見たのはここだけにしておいてね」

そう、彼女が動けるように、大和くんが頑張ったのだ。ここからはヒカルちゃんの真の実力を見せる版と言える。


「わかったんだよ!」

ヒカルちゃんのテンションが上がる。


「これで安心だね」

ぼくは呟いた。

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