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第3話 地下アイドルの学歴

「さすが日本で一番いい大学を出てるだけはあるなぁ」

と、僕は笑った。


そして、僕らは、車に乗った。現場に向う。


「そして全く、話が進んでないね」

と僕は思い出す。

今回の事件のあらすじを聞こうとしていたはずだったが、理系のコミュニケーション能力の話になっていたのだった。


「今回の事件は何だったんだっけ」

と、僕は無理やり話を戻した。


「ああ、はいはい、そうでした。って最初に説明してるんですけどね!仕方がないからもう一回やってあげます!」

と片目をつぶった。

可愛かったけど運転中だからやめてね。僕は思った。

大変可愛らしかったけども。


そう、この車は僕ではなく、彼女、高崎菜々が運転している。

そういうようなことは、彼女に任せるように、上司から言われている。


「今回の事件はストーカー事件ですね。秋葉原の地下アイドルが、ストーカーに暴行された事件です。まぁ暴行と言っても、手を握られたくらいのものなのですが、ちょっと、ストーカーの域に達しているので、なんとかしたいとのことです」

「なるほど、特殊な手法を使っているんじゃないか、というところで僕のところにきたのか」

そう、僕たちの仕事は、事件の規模ではなく、その方法を解明することにある。

犯人を探すことなどは、そんなにメインではない。

僕達の仕事の結果、犯人が見つかることはもちろんあるけれども。


「はい、そうです。地味な事件で申し訳ないですが」

と、高崎くんは残念そうに言った。

警察感というのは派手な事件が好きらしい。


「君の言う、派手な事件って、殺人事件とかのことだろ?」

と僕は言う。

そう、派手な事件というのは、社会的影響の高い事件だ。


「僕は一般人だから、そういうのはちょっとなぁ・・・血とか見たくないよ」

と僕は言う。


「先生はだらしないなぁ」

と、高崎くんは笑っていた。


「だらしなくていいよ、できるだけR18の映像は僕にみせないでくれよ・・・」

と僕は言った。

ほんとにお願いしたい。

なんだったら、数字のデータだけ見ていたいけど・・・。


「ああ、今流行の人の死なないミステリーですか」

と彼女は言った。

彼女は体育会系だが本も読むようだった。

そういえば文学部だったかな。


「そうそう。そういうのが良いよ」

と僕が言う。

あまり人が死なないミステリーは読んだことがないけど、昔のバンバン人が死ぬミステリーよりは良いだろう。

「ははは、そういうのだけだといいですね」

と、彼女は乾いた笑いで返事をした。


「それでなんだっけ?地下アイドルのストーカー?だっけ?」

「そうです!そして、その方法はさっき先生が教えてくれました」

「ああ、目に現在地を知る手がかりがあったというやつだね」

「そうですそうです。犯人は地下アイドルのブログを見て、本人がいる場所を特定して待ち構えていたのです」

「ああ、で、今回はとりあえず向かってみるってわけだね」

「はい、そうです。」

というやり取りをしていると、車の動きが緩やかになった。

ゴールに近づいたのだろう。


「そして、つきました。ここが、彼女の目に移っていた場所です」

と彼女が言った。もちろん僕も良く知っている場所だ。


「私達の母校の『日本で一番いい大学』です。」

そういうわけだった。

今時の地下アイドルは学歴もすごいらしい。

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