第28話 おとり捜査
「とりあえずここまでの仮説は瞳の中を超解像できるような技術力を持ってる人だということが前提になってる」
僕は今まで議論してきたことを整理して並べた。
「なるほど」
佐々木が頷く。僕が言うであろうことを先読みして理解下のであろう。流石に長年の付き合いと言える。
「え?どういうことですか?佐鳥先生が何を考えているかわかったんですか?」
高崎くんが驚く。そう、同じ情報で、彼は先読みしていた。
単純に付き合いのながさの違いではあると思うけど。
「同じ状況を再現して、本当かどうかを確かめたい、ということだね。再現性は工学の基本だからね。」
佐々木が説明する。工学の徒なら全員が全員そう考えるであろう基本に戻って説明していた。
「再現性・・・?」
高崎くんは不思議そうに繰り返する。再現性は一般生活ではそんなには出てこない単語だろう。しかし、工学の世界では常に出てくる。同じことを同じようにできると言うことは実はかなり難しいからだ。
「そうまた瞳の中にだけヒントを与えて同じようにやってくるようなら、その技術が使われてることがわかる」
僕が言う。
「え?それって?」
高崎くんが驚く。僕たちが言っていることを予測していた。
「そうなんだよね。それがうまくいったとしても、犯人が来ちゃうってことだ。いわゆるおとり操作になっちゃうってことなんだよね、それってやっていいんだっけ」
僕は純粋に聞いた。純粋なアイデアだしと、違法性の確認は分けてやるべきなのでこの順番で考える必要がある。
「確かに気になるな。調べてみよ」
佐々木も純粋な興味から調べだした。
「全然ダメっぽい。外国はわりといいみたいだけど、日本は全然ダメなんだって、ドラマでよく見る気がするけどなー」
と佐々木は言う。僕たちは捜査なんかしたことないからこんな感じだった。
「そっか。じゃあどうしようかな」
僕が考える。
「今のアイデアって具体的にはどういうことなんですか?」
高崎くんが聞く。実際に理解して法律として判断しようとしている。
「前回と同じように、写真をきらりちゃんが撮ったその瞳に佐々木と場所を特定できる状態にするということだね。」
僕が案の一つを説明する。
「なるほど、たしかにおとり捜査になってしまうかもしれませんね」
高崎くんは言う。冷静に解釈し判断してくれた。
「おとり捜査は何がいけないの?危ないから?」
僕がそもそも論を聞いた。
「それもあるんですけど、おとり捜査をしなければ起きるはずのなかった犯罪を国が誘発してしまうということみたいですね」
高崎くんが原点に帰って説明してくれた。
「たしかに、言われてみればそりゃそうだ。ということは今までの行動から次の行動を予測しなきゃダメなんだ」
僕がやっと次にやるべきことを理解して言った。




