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復讐
ぐふっ
何度刺されただろうか。
俺の足元には大量の黒い血の池が出来ている。周囲には大量のアリども、もとい人族達が隙間なく囲い、怨念を露わに俺に斬りかかる。
「おらあっ!」
どすっ
俺は痛みを感じると共に回復魔法を自分にかけた。
「ちっ!また回復しやがった!」
「くそ、これじゃ拉致があかねーぜ」
「流石元魔王だけあるぜ、叫び声ひとつあげやしねぇ」
「せめてその面見せて苦しんでる顔でも見れりゃ気が晴れるってのによ!」
悪態を吐きつつも、俺に当てがう剣の手数は変わらない。このアリどもをあえて褒めてやるならその手数だろうか。まあ、それくらいしか言うことがない。
剣筋はズブの素人。人族の中でも最低ランクだろうことは分かる。この程度の強さだと魔族領の低ランクの魔物でも10人以上要る事になるし、流石に人族もそこまで弱いやつらばかりなはずはない。
でも分からないこともある。
何故こいつらは私に怨念を向けるのだろうか、ということ。
私はこのアリどもに、何をしただろうか。




