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Risk one's life  作者: 熊取
3/3

Like a blast

少女が走り去っていくのを見届けて青年は敵と対峙した。


「ハハッ、お前見かけによらず随分優しいんだな。あの子が逃げるまで待ってくれるなんて。」

相手は一度襲いかかって来てからその場を少しも動かずにグルグルと唸っている。


『・・・・・ツ・・メテ・レ・・・・・』

何だ。


『・・・・コ・ツヲ・・テクレ・・・・』

こいつが言ってるのか。

今までより集中して聞いてみた。


『・・・・コイツヲトメテクレ・・・・』

今度は鮮明に聞こえた。

そしてこの声の異質さにもきずいた。

今集中して聞いているとかなり大きな声に感じるのだが、気を外すと聞こえなくなる。


何よりこれは耳の入るのではなく頭に直接響いてくるのだ。


「フッ、言われんでも殺してやる。・・・・・・・能書きなんていらないからさっさと始めようぜ。」


この言葉とともに今までの感じとは変わって殺気を出し始め、それだけで周りの生き物は逃げ出した。今や周りにいるのはこの一人と一頭だけになった。



「いい死合にしような。」




彼 対グリズリー

単純能力値

25対30





1人と一匹は黙ってお互いを見つめ合う。

この状況を邪魔する者はもはや周りの生異物の中にはいない。

彼らは何か切っ掛けを欲している。

何か変化がなければ彼らはずっと互いをそれこそ死ぬまで見続けるだろう。

だが、そんなものはこの星の神が許しはしない。

だからいるのかいないのかはっきりとした確証はとらせない存在が気まぐれに突風を起こした。

この突風は周りの塵を含んで彼らの間に割って入った。


その瞬間その瞬きをする間のコンマ数秒だけ熊の視線から彼が完全に見えなくなった。

グリズリーは突風が過ぎて前を見るとそこには既に彼の姿はなかった。


彼は突風が吹きぬけるその数瞬の間にグリズリーの所まで駆け寄り、懐の視界の外の部分に4脚で地面に立っていた。


そして、4脚を曲げて反動を付け、飛び上がる。

彼は右膝を少し前にやり、グリズリーの顎に入れた。


グリズリーの体は2m以上もあり、さらに筋肉で重さはかなりの値になっているのだが、軽く浮かび上がった。

次に彼は駆け寄る際に拾った石を左手に握り、鳩尾に叩き込んだ。

常人なら骨の骨折程度では済む筈も無いこの攻撃もこの化け物ならひびにもならない怪我で済んだ。


マジかよ。結構手応えはあったのにな。

やっぱり素手でやろうってのが間違いなんだよな。・・・・・・素手で。


グリズリーは彼に地面に叩きつけられて軽い呻き声を上げた物の直ぐに落ち着き、彼を目がけて爪を振るう。


彼はその腕を後ろに飛んでかわし石を投げ捨てて、上着の内ポケットに左手を入れ、中から得物を取り出し、着地と同時に構えて相手に向かい放つ。


ズガゥゥン!! ブシュー


彼の唯一であり生涯のパートナーでもある物心付いた時から一緒にいた得物は銃である。

銃から弾きだされた銃弾は真っ直ぐに相手の胸に命中したのだが、銃を持ってしても軽く血が噴き出す程度で済んだ。


グリズリーは片腕を付いて起き上がると彼に向けて体当たりを仕掛けた。


それを急いで横に飛んで避けて逆立ちに片手を地面片手を銃という状態でまた一発放った。


今度は熊が両手を顔の前でクロスして弾丸を受け、彼が起き上った所を見計らって両腕をクロスさせたまま振り下ろした。


ザシュッ!!


グリズリーは確かな手応えを感じて少し気を緩めた。確かに手応えは勘違いではなく存在していた。だが、切り裂いたのは人ではない。引き裂かれたのはそこらへんのどこにでも落ちていそうな50cm程の太い木の枝であった。


そして、それに気ずいた時にはもう遅かった。彼は攻撃の瞬間に敵が自分を見ていない事が分かると木を身代わりにして、自分は上に跳躍していた。


流石に此処なら幾らお前でもダメージ大だろ。

喰らえ、クイック、


ドドゥン!!


ブシャーーッ!!


やはりお前もそこは弱点なのか。


グリズリーは顔を抑えて蹲った。正確に具体的に言うと、目を抑えて地面に倒れ、のた打ち回りながら呻きだした。



これで終わりだ。

お前の望み、叶えてやるよ。


「おい、木偶の坊!!」


彼は目に銃弾を打ち込んだ後、グリズリーのちょうど真上に位置する所に聳え立っていた大木を一気に駆け上がると大きな声で呼びかけた。


すると、彼の思惑どおりに相手は両腕を声のした方に向って乱暴に振り回し始めた。

その姿は滑稽で、隙だらけであり、彼からしてみたら殺して下さいとでも言ってるみたいにさえ見える。


20メートル程の高さから彼は目標に向かって足を蹴った。

そして、相手の腹に逆向きに持った銃を叩きこむ。


ボキッ、という鈍い音と共にグリズリーの腕の動きが止まり、動かなくなった。


こうして、異世界での初戦闘は彼に軍配が上がって幕を終えた。


『アリガトウタスケテクレテ』

この言葉を聞き終えると怪物は数多の光となって消えていった。



彼 対グリズリー


彼の勝利


最終戦闘能力値


森の地形利用 5


銃 10 


40対30







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