体育祭編2
第7話 体育祭開会式
蒼目線です。番外編じゃなくて本編です。
頭に刻み込んだ花火大会の内容。絶対に誘う。そう決めた。
「蒼早く早く!もう始まっちゃうよ!」
グラウンドに戻ってすぐ鈴に声をかけられた。
「え、マジかよ。じゃ走るか。」
時計を見ると始まるまであと5分。走っても列に入るまでがかかりそうだ。ということで…
ヒョイ
「え?な、何お姫様抱っこしちゃってんの…周りの目が痛いよ…。」
軽いな。ちゃんと食ってんのかよ。まあいい。間に合えばな。
「何ってこうした方が早いだろ?つべこべ言わずに黙ってればいい。行くぞ。」
耳まで真っ赤な鈴は
「…バカ。」
とだけ呟いた。
周りの目が一斉にこちらに向いたが今は気にしない。
あと4分。足を動かし続けるしかなさそうだ。
「す、鈴だ、大丈夫?顔真っ赤だよ。ってなんで蒼がお姫様抱っこしながら走ってたの?別に鈴、足遅くないし。てか今の今まで何してたの?」
相変わらずの心配性だ。
「時間なかったしな。鈴の方が俺より足遅いし。こっちの方が早いじゃん。何してたかなんてお前に関係ないだろ。」
こいつには何故かキツくあたってしまう。なんでかは分かんねえな。ただ何となくこうしてないと落ち着かねーんだ。
「あのね、人がどんだけ心配したと思ってんの?何が関係ないだろなのよ。てか昔からあんたは私にだけあたりがきつい。何、どうせあんたもみんなみたいに腹の中ではバカにしてたんでしょ?私はどうせブスですよ。引き立て役にでも精々してれば?」
キッと睨みつける目は怒りに満ちていた。でも少しだけ悲しげな目をしている…そんな気がした。
「バーカ、俺が1度でもお前にブスって言ったか?それにお前だって、人気ランキング4位なんだぜ。3位より下は少し小さい字で書かれてたから分かんなかったかもしれねーがな。そんな奴が自分をブスとか言ってんじゃねーよ。お前は昔から考えすぎで世話焼きで心配性だからよ。そうやって考えてるのかもだけどよ、俺は杏里沙の
『只今から第77回凛堂学園高等学校体育祭を開催します。それでは選手の皆さんに入場して貰いましょう。』
というアナウンスが流れ、強制的に話の腰を折られた俺と杏里沙、それに鈴はトランペットのファンファーレを合図になった笛に合わせて足踏みを始めた。
ピーピッ!ぜんたーい進め!
掛け声とともに行進を始めた。
「…ということで皆さん、熱き戦いを繰り広げてください。」
なかなか長い校長の話が終わり、生徒会長の言葉に移ろうとしていた。アナウンスにより、生徒会長が台にあがった。
肩にかかるぐらいの長さの髪を緩くサイドで束ねた髪が揺れる。白い肌、華奢な体、少しつり目で大人っぽい顔立ち…どれをとっても美しいことに変わりはない。薄い紅の唇が開く。
「皆さんこんにちは。私が生徒会長の千城 舞だ。あ、暑い中みんなに頑張って欲しいとか思って無いんだからな。あ、あと優勝した組にはクラスごとにプレゼントがあるからな。この全校生徒内からMVPを決めるからな。決まった奴にもプレゼントがあるから。
け、ケガとか心配してないんだからね。終わるから。」
で、出たー人気ランキング3位、最強ツンデレ生徒会長千城 舞。あ、せんきな。苗字。あーあ、男子全員目がハートだぜ。あ、ハートじゃ無いやついた。1,2,3…3人か。まあ、俺入れたら4人だな。俺杏里沙以外興味ねーし。うわ、女子も何人か頬が赤いぜ。百合だな、ありゃ。
て感じで、開会式が終わった。吹部の演奏とか応援団とかあったけどよ、1番パンチがあったのはこれだからよ。説明は勘弁な。
いよいよ俺も戦う時が来たみたいだ。あ、体育祭もだけど、恋もな。あの3人杏里沙の方見てたしな。目離さないようにしないとな。もう杏里沙に辛い思いさせたく無いしな。
いざとなったら守ってやるぜ、杏里沙。
そう心の中で呟いた。