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体育祭編1

第6章 体育祭直前

「おはよー杏里沙!あれ、今日雰囲気違うね〜。」

鈴の何気ない一言。

「……ん?あ、鈴。おはよ。」

あまり返す気が出ない。何だかヤル気が出ない。

今日の格好は全生徒、体操服だ。頭には教室で後から配られるハチマキを巻く。A、B組は赤、C、D組は白、E、F組は青となっている。

ちなみに今日の私はポニーテール、メイクはリップクリームだけにしている。なんせ、夏が近いと言うか、なってるもんで、汗でメイクがとれてしまうために最低限のメイクしかできないのだ。

あとは特に何もしてない。他の子なら、勝負下着?みたいなのをつけてきたり、ハチマキを可愛く結んだり、体操服を少し着崩してみたりするんだろうが、私は何に対しても枯れてると自他共に認めるほど、女子らしさに欠けているのだ。

そんなことしてもそんなに変わらないだろうに、くだらない、バカバカしいなんて思ってしまうほどだ。

多分自分は男子っぽい。たまに「杏里沙は男装してても違和感無いぐらい男の子っぽいし、てか顔立ちが可愛い要素10%のカッコイイ要素90%だから、男子と同じカッコしてたら分かんないかも。」的なことを言われる。当たり前だ。実際、女子とキャピキャピするより、男子と遊んだ方が楽しいのだ。

特に体育祭の時なんて、毎年10人ぐらいの女子生徒に「一目惚れしました。付き合って下さい。」って告白されては「私女だよ。」といってふる。時々、百合がいるからそんな時は腹に一発入れて、気絶させて、その子のクラスのテントに「なんかいきなり気絶したんだけど。」と一言いって、その子を引き渡し、ささっと逃げる。ってことを毎年毎年してる訳だ。

多分、この男子っぽい顔立ち、通常のときの声がアルトボイスってことが6割、後は喋り方とか、男子とよく居るとかが1割、残りの3割がこの悲しい胸元だ。といっても邪魔だからスポブラ着けて、サラシ巻いてをしているために悲しいことになってるだけで、実際は普通ぐらいだ。まあ、C以下は確定のサイズだが。

それは置いとくとして、今は教室でいつの間にか終わったクラスごとの結団式のあと、ハチマキが配られ、着けながら、テントに向かってるだけだ。

さっきから蒼の声が無いのは、保体委員の打ち合わせで朝早くから登校し、今は保体委員用のテントで何やら説明らしきものを先生から受けているみたいだ。ここからは少し離れているが、主な仕事は怪我人などを保健室に連れて行くこと、生徒の健康チェックぐらいで、もう少ししたら、こっちのテントに戻って来る。健康チェックと保健室に連れて行くことを行うにはこっちにいないとできないためだ。


少しして蒼がやってきた。すかさず、男子たちが「モテ王子が帰って来たぜ!」とはやし立て、迎え入れた。もちろん?私も混じった。やはり制服を着ていないとサラシを巻いたため、男子達と混じっても誰も違和感なく、はやし立てる声に混じることが出来た。

不意に蒼と目があった。ニコッと笑みを飛ばしてきた。私は苦笑いして返し、すぐ逸らした。元々私は人と目を合わすことが苦手なのだ。逸らすぐらいはする。

なのに蒼は少し寂しげにこちらを見ている…気がする。まあ、確証はないが。

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蒼目線

今日はいよいよ体育祭当日だ。俺は今杏里沙達より早く学校へと向かってる。保健体育委員会が朝からあるのだ。と言っても30分もかからないぐらいの軽い打ち合わせだが。


打ち合わせは案外早く終わった。多分15分程度だろう。とりあえず、俺は人目のないのを確認し、ある場所に向かった。

空き教室だ。そう。わかる人にはもう分かるだろうが俺は今日ここで告白をする。そのためのシュミレーションを今はしようとしている。

まあ、出来れば軽いキスぐらいは出来たらしたい。実は最近あの事故キスのときの感覚が頻繁に蘇ってくるのだ。その度に顔が熱くなる感覚がある。おかげで、キスしないともう耐えきれないぐらい、その感覚が日に日に強くなっていくのだ。で、もういっそのこと告ってふられた方が潔くこの感覚にケリをつけられそうだと俺なりに考えた結果、空き教室で告白をするということになったのだ。

しかし、今になって思い出したのだが、今日、多分俺は10人ぐらいの女の子に告白される可能性というか、確実にある。多分。杏里沙の方も体操服だと男子に間違えられやすく、告白を女の子10人ぐらいから毎年毎年されてるらしいため、会えないというか空き教室まで行く時間は委員の仕事もあってほとんどなさそうだ。


「やっぱ、やめとこ。」

そう呟き、空き教室を出る。鍵を閉め、少し歩くと、壁にある一枚のポスターが貼ってあった。

向日葵河川敷花火大会

そう書かれている。その下には告白にはもってこいの日だよ。その少し下の部分をそっと指差し、横に線を引いた。

「これだ。」

そう呟き、詳しい内容を朗読し始める俺だった。




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