2週間後
第2章 夏期オリエンテーション準備
入学式から早くも2週間が経過した。少し難しくなった授業内容にようやく慣れてきた頃だった。
この学校では6月と11月に夏期、冬期オリエンテーションが行われる。今年は隣の県の2つ隣の県よりのところにある光ヶ丘自然公園に行くらしい。日帰りでバス移動らしい。
それでその夏期オリエンテーションの準備期間に入ったため、今日から早速2時間分の時間が設けられている。
よく聞くような一般的なチャイムが鳴り響き、先生が入って来て、始まった。
「早速ですが皆さんも知っての通り、6月15日に夏期オリエンテーションがあります。そこでまずしおりを配ります。」
回ってくるしおりを無言で回す。やはり蒼以外の男子と喋るのはまだ難しいというか怖い。
「しおりにある通り、行き先は光ヶ丘自然公園です。まあ、日帰りでバス移動だ。あまり楽しみはないと思うが行事だからみんなちゃんと参加しろよ。」
おいおい、教師がそういうこと言っちゃマズいだろ。とついつい内心ツッコんだ。
「簡単に言えば今日決めることは
・グループ決め(3、4人程度で自由に)
・バスの座席の位置決め(自由に)
・グループ内での係決め(グループ内で自由に)
って感じだ。みんな各自でこれから30分以内に終わらせろ。終わらせたら、教室内で自由に過ごしていいぞ。では始めてくれ。」
話が終わると同時にみんなすぐグループを作った。今更ながら気が付いたが、初日みたいな口調から男勝りな口調に変わっていることに。まあ、多分初日限定の
丁寧な口調だったのだろう。今の方がしっくりくる。
まあ、それは置いておくとして、私は誰と組もうかな…
「杏里沙!一緒に組もー!蒼も!ねぇ、お願い?」
瞳ウルウルからの上目遣い…完敗です。
頷くしかなかった。蒼も同じようだ。
「やったー!ありがとー!ねーねー、バスの座席位置どうする?」
やはり、鈴に仕切ってもらうのが一番楽だ。そう思う。
「私バス酔いするから窓際が良いんだけどいいかな?」
「いいよ。俺は真ん中で!杏里沙、通路側でもいいか?」
「…ん?別にいいよ。どこでも良いし。」
このようにして座席の位置が決まった。場所はF列の運転手側だった。
「係どうする?私は班長にするけど、2人はどうする?」
「俺、副班長するわ。杏里沙、保健美化食事でいい?」
「…ん?いいよ。どこでも良かったし。」
このようにして係も決まった。レク係は無い。寝るやつや音楽を聞く奴がいるからだ。どっちみちやっても盛り上がらず疲れるだけだが。
手っ取り早く決め、先生に鈴が報告し、自由時間となった。
しおりの中を読んでいると気になるものを発見した。
『恋愛成就の樹』この樹に触れて、願いを唱えた後、告白などをすると必ず成功するというものだが、正直言ってありがた迷惑の限度を超えている。男性恐怖症患者に喧嘩を売ってるようなものだ。
そんな考えが頭に巡ってる時、同じ教室内ではある企みが動き出していた。
それを私はまだ知らなかった。当たり前だ。裏で動いてるんだからわかるはずもないのだ。しかし向けられる視線がとんでも無いほどの憎悪の塊だったため、杏里沙もなんとなく環境の変化は感じれたのだった。