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初日

恋愛小説初挑戦です!

第1章 入学式

「ねぇ、あの子カッコよくない?あれは絶対今からモテるわー。」

「あー、分かる分かる。ちょっと童顔だけど、あれぐらいが丁度良い比率じゃない?」

「あー確かに!さすが人間分析が趣味なだけあるねー。で、狙ってんの?」

そんな会話が会場に入った途端聞こえてきた。

全く、後輩の男子をそんな目線で見ていて良いのだろうか。まあ、自分で受けておいて文句なんてあまり言えないのだが。

ここは某県にある市立凛堂学園高等学校。今日は4月8日。入学式の日だ。普通の学校よりも3倍は広い敷地に3階建ての普通よりも広い校舎、普通より広い体育館、グラウンド…と、とにかくこの学校は全部が普通より規模がデカイ。その分迷子が多いのが課題だが…。

席は自由に座っていいらしく、既に7割ぐらいは埋まっていた。私は中央あたりの席に座った。式が始まるまであと10分程度。音楽でも聞いていようとiPodを取り出した時、不意に名前を呼ばれた気がした。

思わず顔を上げるとそこには1人の女の子が立っていた。

「おはよー杏里沙。元気にしてた?分かる?うちのこと。髪切ってるから分りずらいかな?」

気さくに話しかけてくるこの子には見覚えがあった。

「鈴だよね?分からないわけないじゃん!幼なじみで親友の顔なんて。しかしさ、髪結構バッサリ切ったね。前はポニーテールにしても肩にかかるぐらい長かったのにね。」

この子は加賀美 鈴。私の幼なじみで親友だ。前は黒髪ロングをポニーテールにしていたが、今日は耳たぶぐらいまでのショートカットになっていた。鈴とは春休み前の終業式以来会っていない。長期旅行に鈴が終業式後すぐに行ってしまったからだ。紺色の大きな瞳、白い肌、スタイル抜群。正直行って鈴はモテる。この見た目だ、仕方あるまい。

「良かったー分かんなかったらどうしようって不安だったんだー。髪は帰ってきてすぐに切ったんだー。」

無邪気に話す様子は太陽みたいな輝きと天使のような可愛さを感じさせた。

隣に座った途端周りの男子がヒソヒソと何かを話し始めた。多分可愛いとか言ってるんだろう。もちろん鈴の事だ。私の訳がない。すると、

「杏里沙?杏里沙も同じ高校受けてたんだ。おー、鈴は相変わらず人気だなー。」

頭上からかけられた声に見上げるとそこには先ほどカッコいいと噂されてた男の子がいた。

「蒼?蒼なの?なんか印象違うから分かんなかった。」

少し癖のある髪を軽くといただけの黒髪ショート、萌葱色のキリッとした大きな瞳、小麦色の肌…そこには昔のような無邪気な少年は面影はなく、大人っぽく、知的でクールなイメージを与えている。

「そうかな?身長が伸びたぐらいであんまり変わってないと思うけど…。春休みにジムで筋トレしたからかな?」

「いや、それだけじゃないだろどう見ても顔付きが大人っぽくなってるだろうが!気がつかないとかそうゆう天然なところ、昔から本当に変わってないね。」

「あー、確かに。てか、自分がモテてることさえ分かってなかったしー本当鈍感だったよねー。」

私と楓の集中攻撃にたちまち顔を真っ赤にして

「もう、2人して天然扱いするなよ!こっちだってなりたくて天然やってるわけじゃないんだからね!」

といって拗ねる。まあ、そんなガキみたいなところが可愛いんだけどね。

「静かにして下さい。…これより、平成…」

喋っていると不意に式の始まりが告げられた。


1時間後…

私達は長い長い入学式を終え、クラス分けの紙を見に来ている。場所は一年生の靴箱。たくさんの生徒でごった返している。

「えっ…と、私はどこかな……あ、1年C組だって!杏里沙も蒼も同じクラスだよー!」

1人ハイテンションなのは鈴。私と蒼はかなり落ち着いている。

「…ん。そうなんだー。じゃ、1年間よろしくね、蒼、鈴。」

そう言って手を差し出すとすかさず

「よろしくね!杏里沙、蒼!」

「あぁ、よろしくな!杏里沙、鈴!」

と言って手を握ってきた。

まあ、正直言って周りからの嫉妬と憎悪に満ちた目線が痛いほど私に刺さりまくっていたが2人は知らない。こっちは大迷惑だけどね。ただ幼なじみ2人と話し、握手しただけでこんな目線を向けられるなんてさ。

2人にバレないぐらいの強さで睨み返したら、みんな知らんぷりして教室に移動していったけどね。


少しして教室に向かい、到着するとまた同じ目線で睨まれ、さらには机から足を出して転ばせようとしてくる。まあ、全部気にしないようにしたけど。

席は窓際。蒼が隣で、鈴が前の席になった。

この席も自由に座ってもいいものらしい。

「あ、そうだ!二人共さ、春休み中何してたか教えてよ。気になるし。私は長期旅行というか剣道の大会に行ってたけど。」

と、話題提供してきたのは鈴。この子が居なかったら私はかなり根暗になってたと思う。それぐらいこの子は明るい。ムードメーカーと言えるだろう。

「俺は筋トレと勉強、それに空手かなー。」

とのんびりした声で答えたが内容がのんびりじゃない。かなりハードだ。

「私はカンフーと弓道の大会と作曲かな。」

「え、マジで?それめっちゃハードじゃない?てかまだ作曲続けてたの?よくやるよな。」

感心した声で蒼は言うものの

「いや、3人共かなりハードだって。普通は旅行なら温泉とかだし、普通筋トレ春休みにするやつあんまりいないし、大会に出るわ、習い事やるわって全然休みじゃないしね。」

という鈴の最もな声にぐぅの音も出ていない。

そんな会話をしているとガラガラという古典的な音が聞こえた。多分先生が入って来たのだろう。周りの喧騒は一気に静まり返った。

「皆さん、おはようございます。今日からこのクラスの担任をします、平 桜子です。1年間どうぞよろしくお願いします。」

突如始まった自己紹介にみんな戸惑ったものの、拍手は一応起こした。

その後は入学式後にあるようなプリント配布や伝達が行われ、今日の授業?は終わった。

「杏里沙、蒼一緒に帰ろー!」

ハイテンションな鈴に押されて、なんども頷いてしまう羽目になったものの、結局一緒に帰る事になった。

正直言って、周りからの「は?なんであんなブスとばかりいるの?ウザい。」って目線と囁き声が来て、迷惑しっぱなしになっていてウンザリしている。


その帰り道でのことだ。鈴があの事件のことを引っ張り出してきたのは。きっかけは何気ない一言だった。

「ねーねー、杏里沙って好きな人おらんのん?」

「えっ…いないよ…あの時からずっと。なんでそんなこと聞くの?」

段々と声のトーンが低くなるのが分かった。

「え、別に聞くぐらいいいじゃん。さすがにもう杏里沙の男性恐怖症は治ってるのかなって思ったからさ。えっ…もしかしてまだ引きずってるとか?3年も前なのに?」

「ちょ、ちょっと鈴!それはさすがに言い過ぎだよ!」

すかさず蒼が注意するものの

「いいよ。別に今更隠してももう遅いし。そうだよ。

私はあの中1の春から今までずっと男性恐怖症だよ。蒼はなる前からの付き合いだから、話せてるだけだよ。今日の私を見ればそうでしょ?」

そう。私は中1の春、自分で告白した人に次の日の部活帰りに襲われ、ひどい暴行を受け、その後たまたま通った蒼に発見され、病院に搬送され、全治2ヶ月の大怪我をおった。幸い脳に異常はなかったが、それ以来男性恐怖症という病気になってしまい、恋愛が出来なくなってしまったのだ。そして百合っ子でもないため、今の今まで恋愛はご無沙汰だったのだ。

「確かに言われてみれば今日蒼以外の男子と一言も会話してなかったかも…プリント回す時も無言だったし。ゴメン…私てっきり蒼以外に好きな人ができるようになったのかな?って思ってたから。」

申し訳なさそうに俯きながら弱々しく発した言葉に

「いいよ、別に。この病はもう一度恋愛をするしか簡単に治す方法がないらしいから。なのに逃げてた私がいけないんだから…。」

こう返すしかもう選択肢は残っていなかった。

諦めたように

「うん…でも杏里沙が悪いんじゃない。あいつが悪いんだよ!あの森沢 晃がね!退学、少年院送りになったとしても私は許さない!」

と言ってきた。少年院送りは知らなかったが。

「…ん?森沢 晃?いや、まさかね。」

「どうしたんだ?そんな青ざめた顔をして。」

心配した蒼がかけた声に思わず考えを述べてしまった。

「今日のクラス分けの中に『由依田 晃』って名前がC組にあったんだ…で思い出したの、あいつの母親の旧姓が由依田だったことを。でも、そんな偶然あるわけないし…」

「いや、もしかしたら森沢は少年院送りにされたことを逆恨みして、同じ高校に入って復讐しようとしてるのかもしれない。」

蒼の冷静な声が聞こえた。でも私は

「いやいや、それはないでしょ。馬鹿馬鹿しすぎるよ。気にしなくていいよ。」

とかえした。

この選択をしなければあんなことにはならなかった。そして同時にコイツー蒼ーに恋するキッカケになるなんてこの時は思いもしなかった。

夕日がいつも以上に真っ赤に染まっていたのは何かの警告だったのかもしれない。

茜色の空の下を私達は歩いて行くのだった。帰るために。


どうだったでしょうか?感想などを頂けるとありがたいんですが、ねだっても仕方ないですね笑

初の恋愛小説です。まあ、私自身は恋愛したことないんで想像と理想だけで書いてるんで表現があまりいいとは言えませんが、どうか最後までお付き合い願います。出来る限り更新はしていくつもりです。

もう一つの方の真帆の戦闘の方もぜひ読んでいただけると嬉しいです。

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