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じこしょうかい。




ごはん?っと喜んで飛び出した結果・・・・。





トンっと軽い音を立てて大きなテーブルの上に飛び乗ってしまって、好奇の目に晒されてしまうことになった。





飛び降りて顔を上げたら、亜麻色の髪色と眼鏡のレンズの向こうに少したれ目がちの柔らかい茶色の瞳を見開いている人と視線がかち合ってしまった。


慌てて回りを見渡すと、驚いたような表情をしている知らない6人の男の人がいて、振り返ると優しげなイフさんの赤い瞳と、エイルさんの眉を八の字にした困ったような苦笑い。





イフさんは困惑している私を片手ですくい上げると、イフさんの席の前のテーブルの上に移動させて降ろしてくれた。





「何々?!この子!すっごく可愛いねっ。なんていう動物?!」






興奮状態の16歳くらいの見た目の男の子、この子がさっき騒いでたジンという人だろう。





「・・・ユキだ。聖域で暮らすことになった。もし見かけたらよくしてやってほしい。」






イフさんの言葉にエイルさんは溜息をついて、呆れたような視線をイフさんに向ける。




「イフ様。それでは説明になっていません。昨夜、聖域の森でユキちゃんが倒れていたところをイフ様が保護されました。初めて見る生き物でしたので王立研究院からリーフ様を派遣いたしましたところ、意思疎通が可能なことと私たちを害する意思はないと判断されましたので、イフ様がお傍に置かれると判断されました。明日のキャプリコルヌの刻に守護精様方も城に呼ばれておられるかと・・・。」


「あー・・・。そういうことだ。」





イフさん・・・エイルさんに説明まる投げしたよね・・・。





なるほど、城からの報告はこの動物のことだったのかと納得したような視線を受けるとイフさんは1人ずつ向かいのテーブルの右側から紹介してくれた。






さっきから元気だなと思っていた金色髪の腰まである髪を1つにして後ろに垂らしている碧色の大きなの瞳の見た目は16歳前後の男の子はジン・シルフという名の風の守護精様。



その隣りにいる黒髪黒目の少し無表情の男の人は見た目は20代半ばでジンさんの補佐役のアクラムさん。



その隣りの人はさっき目が合った亜麻色の髪と眼鏡をかけていて、その奥のたれ目がちな薄い茶色の瞳の優しそうな男の人は、アルフ・ノームという名前の地の守護精様で見た目は20代後半くらい。



その隣りにはアルフさんの補佐役の茶色の髪と茶色の瞳の少しアルフさんと似たほわほわした雰囲気を持ったリアンさん。見た目は20代後半。



こっち側のテーブルはイフさんの隣りのエイルさんは、焦げ茶の髪にはちみつ色の瞳、見た目は20代前半かな?想像はついてたけど炎の守護精様の補佐役みたい。



イフさんはサラサラの黒髪に宝石みたいな赤い瞳で20代半ばくらい、炎の守護精様でイフ・サラマンダーっていう名前。



イフさんの隣りにいる人はサラサラの腰までの長い水色の髪に少し水色を強めた色の瞳、落ち着いているけどイフさんと同じ20代半ばくらいの見た目、マナ・ウンディーネという名前の水の守護精様なんだって。



1番向こうに座ってる人はマナさんの補佐役の青髪に紺色の瞳のまだ10代後半なんじゃと思うくらい若く見えるルイさん。



一通り紹介してもらったけど、こんなにたくさんの人覚えられるかな?


少し時間かかりそうだけど・・・。




きゅるぅぅぅ・・・・・。




「みぃ・・・。」





本日何度目かのおなかの虫が鳴いて、もう空腹も限界。





エイルさんがテーブルの上に並ぶ料理の中から大きなお魚をお皿に移すところを見た私は必死にエイルさんの手をテシテシと叩いておねだりする。




「みぁーっ。みぃ。」


「はいはい。骨を取ってるからもう少し待ってくださいね。」





テシテシ。


「・・・・。」





タシタシ。


「・・・・。」





スリスリスリスリ・・・。


「・・・・可愛い。」





必死にテーブルの上でエイルさんが骨をのけてくれる手におねだりを繰り返していた私に全員の視線が刺さる刺さる・・・。





風の守護精様のジンさんのぽつりと呟いた言葉も私の耳には入らない。




空腹の限界突破をしている私は目の前のお魚に釘付けでそれどころではないのだぁ。




おーなーかーすーいーたーにょっ!!





テーブルの上でお行儀悪くエイルさんの手元、正確にはお魚の乗ってるお皿の周りをウロウロして、ひたすらエイルさんの言葉を待っている私を見て、アルフさんは柔らかな薄い茶色の瞳を細めてクスクスと笑った。





「この子、ユキでしたっけ。(かしこ)いものですね。普通の動物は本能が強いです。食に対する欲は生きていく上で1番貪欲なものなのにちゃんと待っていられるなんて。」


「そうですね。確かに落ち着きなく動いてはいますが、エイルの言葉を聞いてしっかりと待っている。確かに賢い子ですね。」




アルフさんの言葉にマナさんもうんうんと頷いて関心している。







それより・・・エイルさんエイルさん。


ごーはーんーっ。





「みぁー。」


「はいはい。ほら、ユキちゃん。取れましたよ。骨は全部取ったつもりですが残ってるかもしれないから気をつけてくださいね?」





そう言って苦笑いしながらお皿を目の前にコトリと差し出してくれたエイルさんに精一杯のお礼のつもりでスリスリした後、私はお魚の身がこんもりと積んであるお皿に飛びついた。






白身のお魚だぁっ。


んにゃっ。


うみゃっ。


はぐはぐっ。


もきゅもきゅ・・・。





煮込んであったお魚みたいで口に入れるとホロホロ崩れて美味しい。


食べるのあんまりうまくない私はポロポロとこぼしてしまうけど、お皿の上に顔を突き出して頑張って食べているからこぼれたってお皿の上だからいいもん。






必死にはぐはぐ食べていたら喉につまりそうになった。





けふけふ。




小さく咳き込んだ私の背中を仕方のないやつだという顔でイフさんが優しく

撫でてくれる。



途中私の背中に伸ばしたイフさんの手を止めて、アルフさんの補佐のリアンさんが




「動物の食事中に手を出すと危険です。」





と言っていたけど、イフさんが私の背中を撫でてくれた後、なんとか飲み込んだ私がイフさんの手にありがとうのスリスリをしたら「・・・あれ?」って言ってまぬけな顔をしていた。






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