表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
片手の騎士と・・・  作者: 微々七巣
姫と武闘祭編
27/27

第七話最強の王子(兄)と決闘と・・・

久々の投稿です。

決闘します。あまり戦闘描写はありませんが。

ギンロウは相手がユリウス王子であることに気付かずそのまま話を続ける。

「いや〜、実は道に迷ってしまって。ちょっと、道を教えて欲しいんだけど・・・。」

王子に対してかなり無礼な言葉遣いなのだが、ユリウスは気にした風でも無く

優しい笑みを浮かべて対応する。

「構わない!で、どこに行きたいのかな?」

ユリウスの問いにギンロウも笑みを浮かべ答える。

「え〜と・・・姫さ、じゃなかった、セシリア姫の部屋までの・・・。」

ギンロウは最後まで言い切ることができなかった。

なぜなら目の前の相手の雰囲気がガラリと変わったためだ。

「妹・・・セシリアになんのようだ?!」

鋭い眼光と強い口調でそう聞くユリウス。彼の発言でギンロウはようやく

目の前にいる人物が誰なのかを理解した。とにかく相手の雰囲気を軟化させようと

「えっと自分はエルスの恋人のギンロウといいます。今回の武闘祭にセシリア姫の頼みで、

選手として参加することになりました。」

と自分がこの場にいる理由を慣れない敬語?を使い説明するギンロウ。エルスの名前が出たことと、

武闘祭の参加者と聞き雰囲気を少し和らげたユリウス。

「ほ〜う・・・君がエルスの恋人ね・・・嘘をいっている感じではないな。

なるほど、結局エルスに頼んだのか。まあ今の状況ではそうする他ないのかな?しかし・・・。」

そう言いながらギンロウの全身を一瞥し

「中々の強さを持っているようだが、あくまで学生の中でのはといったところかな?

今のままじゃ祭りで勝つのは難しいな!」

そうユリウスにはっきり言われ、反論する事が出来ないギンロウ。

「やはり、難しいですかね?今のままじゃ・・・。」

「そうだろうね!ふむ・・・よし!どのぐらいの実力の選手が武闘祭に出場しているのか

教えて上げよう!」

ユリウスの提案に嬉しそうに頷くギンロウ。

「え?本当ですか?是非!お願いします!でも、それって一体誰ですか?」

「ん?ああ・・・私だよ!」

「はっ?」

ユリウスの発言に思わず間抜けな声を出してしまうギンロウ。

「ああ!そういえばセシリアにも言ってなかったな!私もアルセルク家・・・

つまりエルスの父君に頼まれてね!その代表として出場するんだ!」

そう嬉々と語るユリウス。だがギンロウの驚きは収まらなかった。

それもそのはずだ、何せユリウスはこの国の最強の男と言われている。

そんな男が今回の武闘祭に参加するという事は、それを倒せるだけの実力が無ければ

優勝は難しいという事だ。

(姫さんにとって最悪の展開じゃないのか?でも、アルセルク家の代表ってことは、

そこまで悪い結婚相手は選ばないだろうから大丈夫か?)

ギンロウは心の中で今の状況を整理していると、王子の発言に疑問が出た。

「あの・・・先程、出場選手の実力を教えてくれると言ていたじゃないですか。

それで相手がユリウス殿下とはどういう意味なんですか?」

ギンロウの疑問にあっさりとした感じで答えるユリウス。

「ああ!つまり私と闘って見ないか、ということさ!

実際に闘って見た方が相手の実力も分かるだろ!」

そう語るユリウス対してギンロウも目の前にいる相手と闘って見たいという思いが止められなかった。

「えっと、それじゃあよろしくお願いします!」

「うん!それとギンロウ・・・だっだよね?それと、あまり慣れてないようだし

敬語を無理に使う必要はないよ!」

そう言われ少し考える様子のギンロウだったが、

「いいのか?不敬罪で捕まるとかないよな?」

と、あっさり敬語を使うのを止めた。その無礼な様子にもむしろ笑みを強めるユリウス。

「構わない!私自身、堅苦しいのは苦手なんだ!

ユリウスと呼び捨てにしてもらっても構わないくらいだ。

なんとなくだけど、君とは長い付き合いなりそうだしね!」

二人は城内の訓練所へと場所を移す。こうしてギンロウとユリウスの決闘が始まる。


セシリアたちはなかなか戻ってこないギンロウを探していた。訓練所の近くを探していると、

なにやら騒がしい声が聞こえる。その声につられ一行は訓練所に足を踏み入れる。

激しく剣と剣とがぶつかり合う音が聞こえることから、誰かが闘っていることが予想出来た。


「聞き忘れていたんだけど、その左腕の分のハンデは必要かい?」

ユリウスから訓練所について直ぐにそう聞かれたギンロウはなんのことか一瞬分からなかった。

自分の左腕を見てようやく、はたから見たら自分の左腕は無いままということを理解した。

魔法の義手のことを一から説明するのを面倒だと感じたギンロウはその左腕で剣降って見せた。

「こんな感じになってるから、問題ないぜ。」

一見、何もないところで剣がきちんと動いているを見て、さすがに驚いた様子のユリウスだった。

「ほ〜う、凄いな・・・魔法か何かで操っているのかい?」

「魔法は魔法はなんだけど、操っていると言うか・・・見えない左腕を生み出している感じかな?」

ユリウスの質問にギンロウは曖昧にしか答えられなかったが、ユリウスは納得した様子だ。

「それじゃあ問題ないようだし、始めようか?」

「ああ!何時でもいいぜ!」

そう言いお互いに剣を構える。勝負が始まってすぐにはお互い動かない。

ギンロウはユリウスの構えに全く隙を見つけることができなかった。

そこで自分の方から動くことにした。相手の方が明らかに格上だ、

受けに回れば自分の方が不利になるのは明白だ。

「はっ!」

気合をいれてギンロウは剣を降る。一回ではない。一閃、二閃、三閃、四閃と

次々と攻撃を繰り出すが、ユリウスが剣を軽く降るだけで全ての攻撃が弾かれる。

更に攻撃を防ぐだけでなく、そのまま攻撃を繰り出すユリウス。

一閃、それをなんとか防ぐギンロウだったが勢いを殺し切れず後ろに下がる。

「っ!」

一旦呼吸を整えるギンロウに対して、ユリウスは追撃せずギンロウが息を整えるのを待つ。

数秒後、ギンロウの吐息が落ち着く。その瞬間、彼はユリウスに向かって攻撃を仕掛ける。

先程より多い剣閃が閃く。ユリウスは落ち着いた様子でその攻撃を受け切る。

今度はユリウスが攻勢に出る。ギンロウはその一撃を今度は受け切って、更に攻撃をしかける。

二人は闘いに集中してゆく。


二人が闘いに集中して行く中で、周りも徐々に騒がしくなって行く。

初めのうちは訓練所にはじめからいた者が、決闘の様子を眺めているだけだったが、

何時の間にかどんどんその様子を見る人が増えていた。そしてその騒ぎを聞いて、

セシリアたちも訓練所にやって来た。

「お兄様が闘っているわ!相手はギンロウさんですの?!」

闘いを行っている者たちが誰かを知り驚くセシリアたち。

「どうして闘っているんだ、あの二人は?」

エルスが思わず口に出した疑問に、答えるものがいた。

「ユリウス殿下から闘いを挑んだようですよ、セシリア様、エルス様。」

その声の方へ皆、視線を向ける。

そこに居たのはユリウスの親衛隊隊長であるレミアという女騎士だった。

「姉さん・・・どうゆうことですか?」

レミアに問うたのは、レイラだった。彼女たちはレイラがそう呼ぶように姉妹だった。

元々レミアも、レイラと同じく王子専属のメイドだった。

しかし学園の授業で剣術才能を王子本人に見込まれ、親衛隊の隊長にまで任命されたのだ。

「レイラ・・・どうゆうことも何も、今言ったことが全てです。

殿下から決闘を申し込み、相手の方がそれを受けたようです。

決闘を申し込んだ理由は彼の実力を見ることと、自分の実力を教えることだそうです。

セシリア殿下のチームに相応しいのかを、確かめるともおっしゃっていました。」

レミアの物言いにセシリアは疑問を抱いた。

「実力や選手として相応しいのかを確認するのは分かりますわ。やり方は疑問ですが・・・。

しかし、自分の実力を教えるとはどうゆうことですの?

お兄様は自分の能力を必要以上に誇示するような方じゃありませんのに・・・。」

今度はセシリアの発言に、レミアは頭を捻った。

「セシリア殿下・・・もしかして聞いていないのですか?」

「何をです?」

「ユリウス殿下が武闘祭に参加することをです。

ですから殿下の実力を今のうちに知って貰う為に、決闘を行っているのです。

もしかして、本当に聞いていないのですか?」

「本当ですの?」

「はい!」

レミアがはっきりとそう頷くのを見て、この話が嘘ではないことを感じた。

しかしセシリアはそのことに対して、驚きよりも疑問の方が強かった。

(お兄様は何を考えてますの?)

元々ユリウス自身は、自分も結婚の話を先延ばしにしていることもあり、

セシリアの結婚の話にも積極的に意見はしていなかった。

だからなぜ今回の結婚相手を決める武闘祭に参加するのか分からなかった。

もしかしたら自分を助ける為か?とも思ったが、

それならばセシリアのチームとして参加すればいいはずだ。

セシリアは後でどうゆうことか、きちんと兄に説明してもらうことを心に決め、

決闘の様子を見守ることにした。


決闘は一見、両者一進一退の攻防をしているように見えた。

しかし、ある程度の実力があるものならどちらが優勢かはっきりしていた。

何度目になるか分からない攻防の後、ギンロウはあえてユリウスの一撃をよけずに受け、

その反動で後ろに下がり彼から距離を取った。その瞬間、ギンロウの体が崩れ落ちる。

なんとか剣も手放さず、片膝突く形で持ちこたえたが、呼吸は荒く息も絶え絶えと言ったところか。

逆にユリウスはさすがに多少呼吸は乱れているものの、しっかりとした姿勢で剣を構え

ギンロウの様子を窺っている。優勢なのは明らかにユリウスだった。


「・・・ここまでですわね。」

セシリアは思わずそう呟いた。その呟きにレイラもレミアも頷いてたし、

ユリウスもそう感じていた。当然周りの観客も。しかし、エルス達はそう思っていなかった。

「いいや、まだまだ!」

エルスの言葉にセシリアはギンロウを見た。片膝をついてうずくまったままだが

確かに闘気は消えてなかった。むしろ徐々に高まるようにも感じた。

ユリウスもそれを感じたようで、改めてギンロウの攻撃に備えた。

そしてギンロウの息が少しずつ収まっていき、完全に呼吸が落ち着く。

ギンロウは大きく息を吸い込むと、うずくまったまま地面を蹴る。

そのままユリウスに突っ込み右手の剣を思いっきり彼に振りぬく。

ユリウスは落ち着いてその剣を受け止ようとするが、

完全には勢いを殺せず少しだったが後退してしまう。

そこにギンロウが左腕の剣を振りぬく。そして、勝負はついた。



次回は決闘の決着です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ