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片手の騎士と・・・  作者: 微々七巣
姫と武闘祭編
25/27

第五話シスコン騎士といい加減な親・・・

予告通りギンロウとその家族の話です。

ギジルとの決闘に楽々勝利したギンロウは夕食を取る為、一行を自分の家に誘った。

「ギンロウ様のお家ですか?寮の部屋ではなく?」

「ああ!この人数じゃ、食事するにはさすがに狭いだろ?材料なんかもあるしちょうど良いだろ!

皆で何か作って食べようや!」

ギンロウの意見に皆頷く。

「うん・・・そうですね・・・。私・・・頑張ります・・・!」

「う!拙者は苦手で御座るな~・・・あ!そういえば、実家と言う事はギンロウ殿のご両親も・・・?」

カエデの言葉に皆ドキリとしながらも、少し期待したような視線をギンロウに向ける。

「ああ、親なら多分居ないぞ。」

ギンロウの答えに少しがっかりしたような安心したような一行。

「そうなんですか。そういえばギンロウ様のご両親はどんなお仕事をしているのですか?」

ユフィの質問にギンロウは随分考え込んでいる。あまりに悩んでいるためシキが突っ込む。

「そんなに考えるような質問かな?それとも言えないような事をしてるとか?」

「いや!そうゆう訳じゃないんだよ・・・ただ何してるのか分かんなくてさ!

ここ十年ぐらい会ってないんだよな~。まあたまに連絡取り合ってるから、

世界中渡り歩いてるのは知ってんだけどな!」

ギンロウの話に皆、一様に驚く。

「じゅ、十年も会ってないので御座るか?」

「それに世界中を渡り歩いてるのですか?」

「一体・・・どんな仕事をしているのかな・・・・?」

「ははは、なんだかすごそうな両親だね!」

そんな会話をしている時、ギンロウの伝聞石にエルスから連絡が入った。

「ん、エルスか?・・・いや、ちょっとトラブルがあったけどまだみんなといるぞ!

今から俺の家で夕食をみんなで作ろうって話を・・・そっちの方も話が終わったのか。

それで俺たちに頼み?・・・ああ、分かった。それじゃあ城門前で待っててくれ。迎えに行くよ!」

そう言って伝聞石を切るギンロウにユフィが話の内容を問う。

「エルスからですよね?なんと言っていたんですか?」

「俺たちに何か頼みたい事がある見たいだぜ?」

「頼みで御座るか?」

「何だろうね・・・?」

「楽しい事ならいいんだけどね!」

「まあ、取り敢えずエルスを迎えに行こうぜ!」

ギンロウの言葉に全員が頷きエルスの元へ歩き出した。


何事もなくエルスと合流した一行。

「それで・・・頼みってなんだ?」

「済まんがこんな所で話せる内容ではないんだ。とにかくまず、ギンロウの家に行こう。」

「そうですか。そういえばギンロウ様のお家はどちらの方に在るんですか?」

ユフィの問いにギンロウが答える。

「ああ・・・貴族街の方だ。」

「そうなんですね・・・・・・。」

「そうで御座るか・・・・・・。」

「そうなのか・・・・・・・。」

「そうですか・・・・・・。」

「「「「・・・・・・・えっ!!!!」」」」

その答えにシキ以外驚く。シキだけはなぜみんなが驚いているのか分かっていないようだ。

「なんでそんなに驚くの?それに貴族街ってなに?」

「えっとですね・・・この街には町の人々から貴族街と呼ばれる区画が存在します。

その区画に住んでいるのはその名の通り、貴族だけなんです!つまり、そこに住んでいるとゆうことは

ギンロウ様は貴族とゆうことになります!」

「???ギンロウが貴族だと何か問題が?」

「いや・・・別に何も問題御座らんが・・・。」

「ただ・・・今初めて知ったから・・・驚いたんです・・・・

エルスさんも知らなかったんですか・・・?」

「ああ!だが本当なのか?シグレ家なんて聞いたことも・・・いや、どこかで・・・。

まあいい、目の前の本人に聞けば分かることか!で、どうなんだギンロウ?」

女性陣の視線がギンロウに集まる。

「な、なんだよ・・・まあ一応、侯爵級の爵位を両親が貰っているみたいだぞ。

仕事の都合で王より授かったらしい。俺自身興味なかったからあまり詳しい話は知らないんだ。」

そんなギンロウに皆、呆れたような視線を送る。

「はあ・・・まったくお前とゆう奴は・・・普通、両親の事や家の事なんか聞くだろ?

それに貴族だからってどうこう言うつもりはないが、せめて私たちにぐらいは

話しておいてほしかったな。」

「そうですね。まお恐らくギンロウ様自身、忘れていたんじゃないですか?

自分が貴族だとゆうことに!」

「うん・・・ありえます・・・・。」

「うむ!」

「言わなかったのは謝るよ!でも俺自身、自分が貴族だなんて思ったことがなかったらな・・・

正直意識はしてなかったな!生まれた時はあくまで普通の平民で、親が仕事で居なくなる直前に

爵位してそれから貴族街に住み始めたんだよ。学園に入ってから帰ってなかったしな〜・・・。」

ギンロウの話にエルスは思いっきりため息をつく。

「はあ〜・・・全く貴様とゆう奴は・・・まあ、ギンロウらしいといえばらしいな・・・。」

エルスの意見に皆同意する様に頷く。ギンロウだけは少し不満そうだ。

「なんだよみんなして・・・そりゃあ、ん?」

ギンロウは誰かに見られている様な感じがしたので、言葉を止めあたりを警戒する。

「どうしたで御座るか、ギンロウど・・・!」

カエデがギンロウに問いかけようとしたが出来なかった。ギンロウがいきなり剣を抜き、

何もないはずの空間に剣を振り抜いたらかだ。いや、そこには人影があった。

いつの間にかその人影は彼らに近づきギンロウに向かって剣を振り下ろしていたのだ。

人影の剣とギンロウの剣がぶつかり合う。数秒鍔迫り合いをするものの、片方が力負けして吹っ飛ぶ。

吹っ飛んだのはギンロウだった。吹っ飛びながらも、女性陣にぶつからない様に注意しながら

空中で態勢を変えて、地面に着地するギンロウ。そんな事態に驚きながらも

直ぐに戦闘態勢をとる一行にギンロウが制止をかける。

「ちょっと待って、お前ら!その人は敵じゃないんだ・・・つうか随分手荒い挨拶だな・・・お袋!」

ギンロウの発言を聞き一行は思わず驚きから固まってしまう。

「「「「「・・・・・・え?」」」」」

「やっほー、ただいま!ふふふ、ギンロウ中々強くなったじゃない!」

「ああ、お帰り!でも、いきなりああゆう事するのはやめてくれよな!」

周りの空気を読まず挨拶する親子にようやく固まってい体が動き出し、最初に発せられたのは、

「「「「「えーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」

驚愕の言葉だった。


ようやく驚きから立ち直った一行に改めてギンロウの母親であるシズネ・シグレが挨拶する。

「驚かせちゃってごめんなさいね・・・私はギンロウの母のシズネって言うの!

気軽にお母様って呼んでね!ふふ、みんな宜しくね!」

全員で取り敢えず自己紹介を済ませる。

「みんなかわいい子ね・・・やるじゃないギンロウ!こんないい子たちが恋人なんて。」

そうシズネに褒められてエルス達は照れてしまう。

「まあな・・・で、お袋が居るってことは親父も帰ってきてるんだよな?」

「もちろん!あの人は先に家の方に帰っているわ。私はギンロウを探していたのよ。」

親子でそんな会話をしている中、他の女性陣たちもシズネの事を話していた。

「ギンロウ殿のお母様はかなり若く見えるで御座るな!」

「そうだね・・・お姉さんって言われても・・・納得してました・・・。」

「それに優しそうな人だよね!」

「そうですわね・・・でも、いきなり切り掛かってきたときは驚きました。エルスどうしました?」

エルスはシズネの方を向いて何かを考え込んでいたが、突然なにか思い出したようだ。

「ん~・・・いや、どこかで見覚えが・・・あ!思い出した!

昔、お父様に学生時代からの友人として十年くらい前に紹介されたことがあったんだ。

その時から年齢が変わってない様に見えるが・・・。」

エルスの発言に改めてシズネを見つめる女性陣だった。


そんなこんなでギンロウの家に到着した一行を迎えたのは、屋敷に務める執事のクラウスだった。

「お帰りなさいませ、奥様、ギンロウ様、そしていらっしゃいませ、お客様方。」

「ただいまクラウス・・・あの人は?」

「自室で休んでいます。お呼びになられますか?」

「いいえ、私が直接呼んでくるわ!ギンロウ、帰って直ぐに悪いんだけど

報告しなくちゃいけないことがあるの!だから、皆も一緒でいいから広い方の客間へ

行っておいてくれないかしら?」

「報告?まあ、分かったよ。んじゃあ、みんな行こうか。クラウス、悪いんだけどよ・・・。」

「分かっております、直ぐにお茶のご用意を!」

「ああ、よろしく頼む。」

ギンロウの案内で客間へ移動する一行。その後、直ぐにシズネと彼女の夫であり、

ギンロウの父親でもあるシンが部屋にやって来て挨拶を済ませる。

「で、報告することってなんだ?」

「ああ、実はなお前に・・・妹がいるんだ、二人ほど・・・。」

シンの報告を聞いてギンロウの表情は喜びに染まる。

「本当か?つまり双子ってことか?いつ生まれるんだ?つうか、それならあんな激しい動きすんなよ、

お袋!」

ギンロウの様子に思わず笑顔になるシズネ。

「ははは、そのことなら大丈夫なの。なんせお腹の中にはもういないから!」

「いない?ああ、つまりもう産まれてるってことか、それならそうと連絡のひとつくらいしてくれよ!で、どこにいるんだ?」

その質問にシズネもシンも今度は困った様な顔をする。

「えっとね・・・ここにはいないの・・・。」

「どうゆうことだ?」

「え〜っとね、実はある人に預けているの。とても信頼できる人だし、

あの子たちも望んでいたから・・・。」

シズネの表現に疑問を抱くギンロウ。

「望んだって事は、妹はもう喋れるってことだろ?一体幾つなんだ?」

「八歳よ!」

「八歳!なんで今まで言わなかったんだよ!」

「いや〜ごめん、ごめん。その方が驚くかな〜って思ったから、ついね!」

「ついでそんな重要な事、報告しないなんて・・・いや、確かに俺の親らしいか。」

自分で言いながら納得してしまうギンロウに皆、苦笑いをする。

「凄まじい親子だな、確かに似ているが・・・。」

「本当ですわね!普通、家族が増えた事を報告しないなんて、選択肢すら思いつきませんわ!」

「結局、妹君はおられないので御座るか・・・。」

「ちょっと・・・残念ですね・・・。」

残念そうな一同の様子を見てシズネが一枚の写真を出す。そこには三人の人物が写っていた。

「ここに写っているのがあなたの妹よ!左右のよく似てる子達がそうよ。可愛い子達でしょ!

黒髪の方がクロナ、銀髪の方がシロナって言うの!ちなみに真ん中に写っているのが

今彼女たちを預けている人ね!」

その写真を眺める一同。

「うむ!確かに可愛いな!」

「本当だよね!それに二人ともとってもそっくりだよ!」

「違うのは髪の色と、瞳の色くらいで御座るか?」

「そうですわね!嗚呼、でも本当に愛らしい方達ですわ!」

「うん・・・やっぱり会いたかったです・・・。」

「とゆうか、何で連れて帰ってこなかったんだ?いくら妹たちが望んだからって・・・

はっ!まさか、お兄ちゃんに会いたくなかったんじゃ?」

自分で言いながらも落ち込むギンロウに苦笑しながらもシズネは説明する。

「はは、ごめん、ごめん!ちょっと説明が足りなかったかな?そ〜だな〜・・・最初から話すね!」

シズネの説明を簡単にまとめるとこうだ。彼女たちが生まれ、一時的に旅が滞ることとなった。

彼女たちを連れながら旅するのは危険なので当然である。

しかし、シズネ達は旅の足を止めたわけではなかった。ゆっくりでも双子の子供を育てながら、

旅を続けた。それから五年、つまり彼女たちが五歳になるころまでこの旅は続けられた。

そんな旅を続ける中で、彼女たちはある森で、ある一人の人物と出会う。その時出逢ったのが、

写真に姉妹と写っている女性である。その女性は魔女だった。彼女とはある事件で仲良くなった一行。

更に姉妹には途轍もない魔法の才能が眠っていることが判明したこともあり、

弟子なって貰う変わりに姉妹を預かることを了承する魔女。

姉妹たちも魔女の魔法に興味があり、むしろ自ら望んで弟子になったと言う。

それから三年の間、魔女の元で修業した姉妹。(一応、年に何回かはシズネもシンも魔女たちの元へ

顔を出していた。)本来なら今回シズネ達と合流して帰ってくるはずだったが、

魔女の儀式で、ちょうど武闘祭の時期にしか出来ないものがあるらしく泣く泣く断念した。

兄の事は両親から聞いていたため、ぜひにでも会いたかったそうだ。

「そっか・・・まあ、そうゆうことならしょうがねえか!」

妹たちが会いたかったと聞いて、急に機嫌がよくなるギンロウだった。

「ギンロウって、意外にシスコンだったんだね!」

シキの言葉に全員が頷く中、

「ああ!だってこんだけ可愛いんだぞ!シスコンにだってなるぞ!」

どうどうと胸を張るギンロウだった。


妹たちは第三章より本格的に参戦します。

その時まで自分が書く気力が有れば・・・。

次回はギンロウと姫様がようやく出会います。



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