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片手の騎士と・・・  作者: 微々七巣
魔法の義手編
13/27

第十二話片手の騎士と契約と・・・

精霊との契約する話です。

抱きつかれた拍子にギンロウそして精霊も一緒に倒れてしまう。しかし、尚も彼に抱きつきながら精霊は

「こんな偶然・・・いいや、これは運命だ!そう、こんな運命の出会いが出来るなんて!」

と言いながら興奮し、さらにギンロウを抱きしめる力を強くする。そんな状況に一同は困惑する。

「い、いったいどうしたで御座るか?」

「かなり興奮しているな・・・」

「どうしよう・・・?」

「早くどかしてあげた方が宜しいのでは?ギンロウ様、とても苦しそうなんですが・・・」

ユフィの指摘に皆、はっとする。精霊の下敷きになったギンロウは暫くもがいていたが、

徐々に動きが小さくなっていく。女性陣で慌てて、ギンロウから精霊を引き剥がす。


精霊も落ち着いた所で、何故ギンロウに抱きついたのか?その理由を精霊は語り出す。

「まぁ、簡単に言うと、ギンロウが契約する為の〝資格〟を持っていたからなんだよ!

 それで思わず嬉しくなってね。つい抱きついてしまったよ!」

照れ臭そうに語る。その内容に納得しながらも少し驚く一行。

「彼女の反応からもしやとは思ってましたが、そんな偶然もあるんですね!」

「偶然では済まないだろう!彼女を打った鍛冶屋、そして振るった剣士、その両者の血を引くものが

 ギンロウだったなんて!」

「確かにで御座るな!精霊殿の言う通り、運命じみたものを感じるで御座る!」

「うん・・・かなり不思議な運命・・・。」

「俺はその運命を感じる前に死ぬとこだったけど。」

そう言うギンロウをエルスは睨み付け、

「貴様のは自業自得だろうが!」

と突っ込む。それに対しギンロウは

「まぁ、そのおかげで俺に〝資格〟が有るのが分かったんだし、結果オーライじゃねぇ〜か!」

と軽く返す。そんな態度にエルスは頭を抱える。そんなやり取りを微笑んで見ていた精霊は、

「〝資格〟の方はこれで問題ないよ!後は私からの〝条件〟を呑んでくれれば、君と契約しよう!」

と言う。その言葉に一行は喜ぶ。

「本当か?じゃあ、その〝条件〟を教えてくれよ!」

と、ギンロウは聞く。精霊は全員を見渡し、

「私は今、『キス』というものに大変興味があるんだよ!だからギンロウとこの場にいる女子全員で

『キス』する所を見させてもらいたいんだ!それが私からの〝条件〟だね!」

軽く言う。思わぬ〝条件〟に皆、固まってしまう。

「・・・え?」

「なんと・・・!」

「・・・・。」

「えーと・・・。」

戸惑う様子の皆に対し精霊は、

「んん!どうしたんだい?簡単なことだろ?」

と聞いてくる。いまだに女性陣が戸惑いを見せるなかギンロウが口を開く。

「そいつは無理だな!!」

そして、そうはっきりと告げる。戸惑いはあったものの、『キス』する事は嫌ではなかった女性陣は、

そう言われたことに少なからずショックを受けた。そんな様子に気付いたのかギンロウは

その理由を語る。

「『キス』すること自体が嫌なんじゃない!ただ俺は、『キス』は女性にとって特別なもので

 特に、特別な相手との初めての『キス』は一生の思い出になるものだと教わってきた。

 もちろんエルスもユフィもカエデもネートも俺にとって特別な女性だ!!

 みんな大事だし、大好き・・・いや、愛してる!!そんな特別な女性たちだからこそ

 こんな、何かの条件みたいな形で『キス』してしまうのは嫌だ!!」

少々子供じみた様な言い分だが、少女たちの心に何か温かいものが溢れる。

ギンロウに近づきながらエルスは

「まったく!変な所でお堅い奴だな、貴様は!普段は遠慮なく私達の胸に触ってくるくせに・・・。

 しかもこんなタイミングで告白じみたことを言うな!私たちだってもっとちゃんとした場面で

 聞きたかったのに・・・。」

と文句を呟く。それを聞き、何か言おうとするギンロウの口に人差し指を当て黙らせると、

「最後まで聞け!いいか・・・恥ずかしいから一度しか言わん!私たちはそんな貴様が

 大事で、大切で・・・・・大好きなんだ!そしてな、確かに女性にとって『キス』は特別なものだ!

 だがな、一番重要なのは場所でも状況でもない・・・それは『キス』する相手だ!

 だから、どんな理由でも『キス』が嫌なんて言わないでほしい!!特別な相手にそう言われると

 傷つくだろ・・・。」

と自分の思いを告げる。ギンロウは彼女をしっかりと見つめる。彼女の思い、そして決意を感じる。

そして周りの女性陣にも目を向ける。ギンロウが見つめると全員しっかりと見つめ返してくる。

皆の思いを改めて感じた。そして、

「わかった!俺もみんなの事を愛してるから『キス』がしたい!!」

とはっきり告げた。それから精霊の方を向き、

「今から『キス』をする!それで〝条件〟はクリアなんだな?」

と確認する。それに対し精霊はすまなそうに肯定する。

「ああ、もちろん!だけど軽い気持ちで言った〝条件〟が君たちにとって重要な事だったなんて・・・

 すまなかったね!でも結果的にお互いの気持ちが分かってよかったかな?」

その問いに何とも言えない顔になってしまう一同。


気を取り直し『キス』をする為、ギンロウはまずエルスに声を掛ける。

「エルス!」

ギンロウの呼びかけに照れながらも返答するエルス。

「ま、まずは私からか・・・よし、さっさと済ますぞ!!」

ギンロウの前に来て目をつぶり、『キス』しやすいように軽く顎を上げる彼女の様子に微笑み

「愛してるぞ・・・エルス・・・ん・・・。」

そう囁きながら唇を重なる。いきなりそう囁かれ驚くエルスだったが、直ぐに彼の唇の感触に集中する。

約一分後、二人は唇を離す。しばらく見つめあっていたが皆に見られていることを思い出して

慌てて離れようとしたエルスは、何か思い出しギンロウの近くへと戻ってくる。

そして彼の耳元でこう囁く。

「私も・・・愛してるぞ!」


「ユフィ!」

エルスとの『キス』を終え、今度はユフィに声を掛ける。

「は、はい・・・次は私ですね!」

そう呟きギンロウの目に前に来ると、しっかりと彼を見据え

「先ほどはエルスが代表で告げただけなので、自分の言葉で改めて言いたいと思います!

 私も・・・ギンロウ様が好きです!」

と自分の思いを告げると、目をつぶり、顎を軽く上げる。そんな彼女にギンロウは

「俺も・・・ユフィの事が好きだ!愛してる・・・ん・・・。」

言いながら唇を重ねる。ユフィは一瞬ビックとなってしまうが、その後は彼にされるがまま唇を預ける。

ギンロウが唇を離す。しばし二人で見つめあう。ユフィは微笑むと先ほどのエルスと同様に

彼の耳元でこう囁く。

「先ほどよりもっと好きになってしまいました。」


「カエデ!」

ギンロウに呼ばれカエデはかなり緊張してしまう。

「ははは、い・・・せせせせせ、拙者でででで、御座るな・・・!」

ギンロウに近づく足取りもガチガチだ。ようやく目の前に来たカエデをギンロウは抱きしめ

耳元で囁く。

「そんなに緊張するなよ。落ち着くまで待つぜ!」

抱きしめられてさらに緊張してしまいそうになったが、ギンロウの言葉と温もり落ち着くカエデ。

「申し訳ござらん・・・もう大丈夫で御座るよ!でもこのまま聞いてほしいで御座るよ・・・!

 ギンロウ殿の事が好きなんで御座る!初めては事故で御座ったが、今度こそきちんと

 『キス』して欲しいで御座るよ・・・。」

そう言いながらギンロウに顔を向ける。ギンロウは

「ああいいぜ!俺もカエデが好きだからな!」

そう告げ彼女の唇を奪う。カエデはギンロウに抱きしめられたまま『キス』を続けた。

ギンロウから唇を離すとカエデは呼吸を荒くして、

「は~・・・は~・・・これが本当の『キス』で御座るか・・・。」

そう言いながらフラフラな足取りで、戻っていく。


「ネート!」

ギンロウに呼ばれトコトコと彼の目の前に行き

「私も・・・皆と同じ・・・。ギンロウが・・・大、大、大好き・・・。」

照れながらもしっかり告白するネート。ギンロウはそんな彼女に優しく微笑み

「俺もだ・・・俺もネートが大、大、大好きだ!」

そして優しく口付けする。口付けしながらもネートの方からギンロウに抱き着く。

ギンロウもそれに答える。そして二人の唇が離れる。

「大好き・・・。」

改めてそう告げ、照れながら皆の元へ戻るネート。


ようやく全員との『キス』を終え精霊に問いかけるギンロウ。

「これで〝条件〟はクリアだろ!これで契約は完了したのか?」

その問いに答えようとギンロウの目の前まで来ると、

「ま~だだよ!私はちゃんと言ったよね、この場にいる女性全員と『キス』してもらうって・・・。」

そう言いながら彼を抱きしめながら『キス』をする精霊。

「これで・・・契約完了だ!」

次回は精霊についてのさらに詳しい話です。

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