#8
あれから一週間。
「みさきー、帰ろう!」
「うん」
いつも通りの高校生活を送っていた。
でも、突然壊れちゃうんだ・・・。
「おい、そこの恋愛経験薄い奴」
・・・なんでまたイラつくことを言ってくるわけ?
「あ、この前の屋上の子じゃん。美咲知り合いだったの?」
「さあ、知らなーい。由梨、行こー」
私は無視して彼の隣を素通りしようとした。でも腕を掴まれた。
「もう、なんなの?また怒らせる気?」
「お前の秘密ばらしてもいいの?」
・・・秘密って、先生と・・・隆ちゃんと暮らしてること?でも知ってるわけないし。
「何、秘密って。なんのことかさっぱり」
するとみんなのいる前で私は壁に追い詰められて・・・。
「ちょっと何するのよ!こんな公共の場で恥ずかしいことしないで!」
「隆ちゃんとのことばれてもいいわけ?」
コソッと耳元で囁いた言葉に私は凍りついた。
「ちょっとあんた美咲に何してんのよ!」
由梨は私から彼を跳ね除け、「大丈夫?」と呼びかけてくれる。
私は苦笑いで「大丈夫」って応えた。でもね、きっと由梨にはばれてるんだ。
「由梨、ごめんけど先帰ってて。私、彼とちょーっと話があるの」
「・・・わかった。何か合ったら直ぐに連絡してきてね」
私は頷いて、彼に向き直り「屋上行こう」と言った。
ガチャンッ
「何が目的?別に私と先生は幼馴染みってだけなんですけど。疚しい事はない」
「じゃあ、俺と付き合って」
・・・は?何こいつ。何言ってんの?
「いや、なぜそうなるわけ?」
「先生を好きじゃないって、なんでもないって証明して」
「は?名前も知らない貴方に?それに彼女がいるでしょ。あの美人彼女が!」
「別れるから」
何こいつ・・・。やっぱり女を道具としてしか見てない。
プルル、プルル
きっと私の携帯。
「出て良いよ」
きっと電話。由梨かな?
私は携帯を取り出す。もう、こういうときどうして掛かってくるのって感じ。
どうしてかけてくるの?・・・隆ちゃん。
「出れない相手?じゃあ、俺が出てやるよ」
携帯を奪い取られ、彼は受話器マークを押した。
「ちょっと!」
「もしもし?先生?」
「やめてよ!返して!侵害よ!」
終わったと思った。仮に幼馴染みだとしても先生と生徒が電話番号を教えあうなんてしてはいけない。
そういう学校のルール。
「先生、俺とえーっと・・・美咲は付き合うことになったんで、それじゃ」
プッ、プー、プー
「・・・最悪、最低!」
どうしてこうなっちゃったの?
どこで道を誤ってしまったの?
東野美咲、大ピンチです。