#6
あっという間に日は過ぎ、今日は入学式。
「えー、新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます・・・」
ペラペラと校長が話す中、私は隆ちゃんのことが気になってしょうがなかった。
チラチラと隆ちゃんの方を見ては俯いてを繰り返す。
わ、私何意識してるの?自意識過剰だよ!
なんて突っ込んでもう一度隆ちゃんを見ると隆ちゃんもこちらを見ていた。
目が合い、私は顔を真っ赤にして直ぐに目を背けた。
入学式が終わると私たち在校生は椅子片付け。
「みーさーきーちゃん!今日ずーっと先生のこと見てたでしょ」
からかい混じりに話しかけてくる由梨。
でも図星だから顔がボッと熱くなるの。
「べ、別にそんなんじゃないし」
由梨に嘘が通じたことは今までに一度もない。私の全てをお見通し。
屋上で由梨と恋バナをしていた時だった。
ガチャン
「ちょっと拓也!別れるってどういうこと!?せっかく同じ高校に入学したのに!」
え、修羅場!?
きっとカップルと思われる男女を見て私と由梨は身を潜めて耳を澄ませていた。
「黙ってないで答えてよ!」
「この俺が本気でお前を相手にすると思ってんの?もう満足させてやったろ」
・・・何だ、この男。最悪な奴!
でも顔見たことない。まさか1年生?
「うっ・・・す、好きだったのに~・・・拓也のバカ・・・うっ」
あ~あ、泣かせちゃったよ。女を泣かせるなんて最悪だね。
慰めもしない彼。泣き続ける彼女。修羅場を見るなんて・・・。
「俺、他の女できたんだ。ってことでじゃーな」
そういって彼は行ってしまった。
もう?え、終わり!?あの男、女を遊び道具としてしか見てない!許せない!
─キーンコーンカーンコーン─
チャイムが鳴り、彼女は泣きながら屋上から姿を消した。
「すごかった・・・って私たちも行かなきゃ」と私。
「おもしろっ」と由梨。
面白くはないね。なんて心の中でツッコミ。
少し遅れて教室に着くと既に先生 隆ちゃんは着ていて・・・
「遅刻」
笑顔でそういうからドキッてさせられて・・・。
でもさっきの彼最悪だなー・・・。
男の子ってやっぱりそういう・・・女を道具としてしか見てないのかな?
隆ちゃんも・・・そうだったのかな?
なんて考えながら隆ちゃんを見つめていた。