#20
夏休みが明けると由梨に根掘り葉掘り聞き出された。
「旅行どうだった?」とか「キス以上した?」とか・・・。
実際、一回しかキスをしてない。
でも私にとって幸せのひと時だった。
だってね
「愛してる、美咲・・・だよ!?かっこよすぎ!」
そういってはしゃぐ私を見て由梨は溜息をついた。
「あんたね・・・恋するのは良いけど、愛に溺れすぎたらダメよ」
「へ?」
「まあ、いずれ分かることよ」
由梨がそういい終えたと供にチャイムがなった。
ガラッ
教卓の前に愛しの隆ちゃん。
ポッと赤くなる私。これは禁断なのにね。
家に帰ってからも隆ちゃんに怒られる。
「美咲さ、俺のこと見すぎ」
「だってかっこいいんだもん」
「それにニヤニヤしすぎ、気持ち悪い」
・・・ガーン
ニヤニヤしすぎの気持ち悪い・・・?
最悪のコンビネーションじゃん。
「だってだって・・・好きなんだもん」
なんて甘えてみる。隆ちゃんは私の頭をポンッと叩いて
「俺の方が好き」
ってかっこよくいうからまたまた惚れ直しちゃう。
本当に私、隆ちゃんの彼女になったんだよね?
こんなにも幸せのときを感じれるなんて嬉しくて仕方ないよ・・・。
そして、文化祭が近づいていた。
出し物は定番のお化け屋敷。
そりゃあ、カップル用に作っちゃったりもして。
隆ちゃんと入ってみたいけど、さすがに怪しまれるし。
「東野」
呼ばれて振り返ってみれば隆ちゃんで・・・。
「ボーっとしてないで手伝いなさい」
「あ、はい」
先生みたいなこと・・・って先生なんだけどね。
でも全部にドキドキして、本当に大好きで。
恋に・・・愛に溺れるってこういうことなのかな?
好きすぎて怖いって思っちゃうことなのかな?
本当は分からないんだよね、恋や愛なんて。
科学では分析できない何かなんだよね。
でもさ、人はどうして裏切るのか、とか分からないのかな?
人の感情ってどうしてわからないんだろう。
どうして怖いって感じちゃうんだろう・・・。