表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/22

#2

隆ちゃんが引っ越したのは、確か隆ちゃんが中学1年生の時だったかな?


私は隆ちゃんの足に縋り付いてたっけ?


だって隆ちゃんは私のことを妹のように可愛がってくれて・・・


いつの間にか距離が縮まりすぎて、近すぎて・・・。


「隆ちゃ~ん」


私はお母さんが「隆ちゃん」って呼んでいたから、それを真似してそう呼ぶようになった。


「やだやだ!隆ちゃんが行くならミサも行く!」


この時、私は自分のことを「ミサ」と言ってたかな・・・。


そんな私に隆ちゃんは優しく微笑みかけてくれて・・・。


その笑顔が大好きで、彼の笑顔が眩しいほどに素敵だったから。


「こら、美咲!迷惑かけちゃダメでしょ!」


「はは、美咲?俺、また美咲が大きくなったら戻ってくるからな・・・」


なーんて言ってたかな?


って過去を振り返ってる場合じゃないよね。


あの日の翌日、お母さんはニューヨークへ行ってしまった。


その日から、隆ちゃんへの配達便が増え、家の中のあちこちにダンボールが転がっている。


「・・・」


私はただ立ち尽くしているだけ。


「美咲も手伝って」


・・・一人で出来ませんか?って言いたいけど、お世話になった隆ちゃんには言えない。


「はーい」


私は隆ちゃんの部屋・・・私の部屋の真ん前の部屋にダンボールを運んでいく。


部屋の中で隆ちゃんはダンボールの中身を開け整理をしていく。


そういえば・・・明日学校だ・・・


全然実感が湧かない。


それに・・・隆ちゃんと二人きりで息苦しい。


だって久々に会ったのになんだろう、「久しぶり!」みたいな盛り上がり感がない。


なんだか親戚のおじさんに会ったみたいな?


「美咲、そのダンボール持ってきて」


「はいはい」って心の中で返事。


これから本当に大丈夫なのだろうか?


やっていけるの?異性と二人暮らしだよ?


まあ、異性といってもお兄ちゃんみたいな存在だったんだけどね・・・。


いつの間にか時刻は夜の10時を回っていた。


「私そろそろ寝るね、明日学校だし」


「あー、そうだな」


私は大きな欠伸をして隆ちゃんの部屋を出て行こうとした。


「美咲、ありがと」


その時の彼の顔・・・とても懐かしくて・・・。


あの頃の彼の顔と全く変わってない。


眩しくて・・・素敵な笑顔。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ