#14
テストも無事に終わり、テスト返しの日が遣って来た。
「次、東野」
「は、はい!」
緊張気味に隆ちゃんが持っているテストを手に取った。
「・・・なんと」
テンションが可笑しい・・・。
どうしよう・・・。
私はもう一度隆ちゃんを見ると、隆ちゃんは「よかったな」ってそういって天使の笑顔を見せてくれた。
・・・数学、初の最高点。45点。
実際ここまで取れるとは思ってなかったから・・・。
他の教科も赤点を取ることはなかった。
これで追試もない!やったー!
家に帰って机の上に数学のテストを置く。
「輝かしいぞ!東野美咲!」
なんて独り言を言っていると隆ちゃんが帰ってきた。
私はすぐに玄関に向かった。数学のテストを持って。
「隆ちゃん隆ちゃん!やったよ!やったよ!」
なんて平均的にも低いテストを自慢のように見せ付ける。
「まだまだだな。まあ、数学は誰も赤点取らなかったし。どこ行きたいか考えとけよ」
そういって隆ちゃんは私の頭に手をポンッと置いてきた。
それに胸を弾ませて、子供のようにはしゃぐ私を見て彼は笑う。
ずっとドキドキが止まらなくて。
隆ちゃんは、私が隆ちゃんに想いを寄せてること知ってる?
一緒にいられることは幸せだけど、この想いを押し殺すのは辛いから。
数日後、夏休み前日。
「美咲!せっかく追試ないんだしさ、どこか遊びに行かない?」
「うん、でも隆ちゃんがどこか連れて行ってくれるって言ってるからその日以外で」
そういうと由梨がクスッと笑った。
「デート?」
なんてからかってくるから「違うよ!」って頬を染めていった。
でもこれはプライベートで行くわけだし・・・デートになるのかな?
想像するだけで体に熱が走る。
「なーに妄想してんのよ!」
由梨が私に突進してくる。それにハッとなる私。
「べ、別に妄想じゃないよ!ただのそ・う・ぞ・う!」
だって私と隆ちゃんに何かが起こるわけじゃないでしょ?
私がこの気持ちを隆ちゃんに打ち明けない限り、何も起こらない。
隆ちゃんが私のことを思ってくれてるとも考えられない。
最近、脳が隆ちゃんで埋め尽くされてるような気がする。
本当に本気で惚れちゃったのかな?




