#13
あの後、夢の内容を話すと隆ちゃんはクスクス笑いながら私を慰めた。
「笑い事じゃないよ!?隆ちゃん死んだんだよ?怖かったんだから」
「そんなに俺のこと心配してくれたんだー。ありがとな」
いつ見てもその天使の笑顔、素敵だなーって思う。
さっきから胸がキュンキュンして・・・心臓の音聞こえちゃうかな?
「それより、美咲・・・数学の勉強したか?」
「・・・へ?」
いきなり話題が変わり、ヘンテコな声を出してしまった。
そんな私を見てまたあの笑顔。
「通りすがりに美咲のパッと見したら、すっごい間違ってたけど」
「・・・気のせいだよ、ははは。そんなわけないじゃん」
なんていっていると、いつの間にかテストが返ってくることになった。
「・・・え?」
8点?あら、やっぱ視力落ちた?・・・ちょっと待って!8点!?
「美咲、何点・・・って・・・ふっ」
「笑わないで!これでも、これでも頑張ったんだよ!」
これは無いでしょ。8点?赤点以下でしょ。
「数学悪かった奴、びっちりしばくからなー」
・・・これは、悪すぎ?
「夏休み前のテストで人生が変わるぞー」
夏休み前のテストまでに絶対点数上げなきゃ!
家に帰って猛勉強・・・ってそんなヤル気でませーん。
シャーペンをホイッと机に投げたと同時にいきなり戸が開いた。
「美咲!おま、は、8点ってなんだよ!苦手なら言えよ!俺を誰だと思ってるんだよ」
び、びっくりした。
「だって・・・その時期、お互い入れ違いみたいになってたし・・・気まずかったし・・・」
すると隆ちゃんは溜息をついて、私の背後から机の上にある問題集を覗き込んだ。
「どれどれ・・・って全部空欄ってどういうことだよ」
ドクンッ・・・ドクンッ
心臓、うるさい!黙りなさい!
「お、教えてくれるの?」
「教えるも何も・・・夏休みに追試することになったら俺が面倒くさいから」
・・・なんだそれ。もっとキュンキュンしたこと言ってくれるのかと思ったし!
でもさすがに追試は嫌だなー・・・。
季節は夏に入り、学校では熱心に集中し、家では隆ちゃんに指導され・・・。
「明日か・・・」
「う、うん」
「もし・・・赤点じゃなかったら、美咲の行きたいところ連れて行ってやる」
「え!本当!?よしっ!頑張る!」
そんな私を見て、隆ちゃんはクスッと天使の笑顔。
ねえ、もし私が赤点じゃなかったら・・・
その天使の笑顔、私のものだけにしたいよ・・・─




