#11
「みーさーきー!」
背中に重い物が圧し掛かる。
「由梨・・・、おはよ」
「昨日どうなったのか教えなさい。その顔じゃいい報告は聞けそうにないけど」
うん、由梨にはばれてるんだ。
ねえ、由梨?私、どうしたらいいかな?
今、すごく辛いの。隆ちゃんにあんなこと言われて・・・朝、隆ちゃんが起きる前に出てきた。
でもトボトボ歩いてたら、いつの間にか時間は過ぎてるの・・・。
考え事をするたび、隆ちゃんを思うたびに時間がすぐ過ぎちゃうの。
私は昨日合った出来事も今思ってる感情も全て由梨に吐き出した。
由梨はそんな私を慰めてくれて。
「そっか・・・西のことはどうにかしないとね。先生も何考えてるんだか(でもきっと・・・)」
─キーンコーンカーンコーン─
予鈴が鳴り、由梨は私を心配しながら席に着いた。
ガラッ
私は戸から入ってくる人物を一目見て直ぐ逸らした。
目なんて・・・合わせられっこない。
「起立!礼」
きっと私・・・態度悪いと思われてる。でも仕方ないでしょ。
隆ちゃんがこっち見てるような気がして仕方ないんだもん。
「もうそろそろしたらテストだから勉強しておくように。特に数学」
・・・怖い。赤点取ったらどうしよう。今気まずいのに・・・。
テストの前に片付けておかなければならないことがある。
西のこと。はっきりさせよう。私と隆ちゃんは た だ の幼馴染みだと。
通りすがりに西と擦れ違って「屋上で待ってる」ってコソッという。
放課後、ちゃんと彼は屋上に来てくれて・・・。
「何?俺、別にあんたらがどうなろうと関係ないし」
「は?だから、私と隆ちゃんはた・だ・の幼馴染みなんだってば!」
「はいはーい、ばらさないから。でも二人で暮らしてるってばれたらどうなるかな~。じゃあね~」
・・・は?どうして知ってるの?二人暮らししてること。
ばらさないって・・・信用出来ない。それに!この首の跡・・・まだ消えないし!
溜息混じりに下校。
帰ってももちろん隆ちゃんはいない。
・・・机に置いてた朝食、食べてくれたんだ・・・。
どうしてだろう?それだけでも、些細な事で涙が出てくる。
私、泣き虫だなあ~・・・。




