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夜明けの疾走  作者: 村松康弘
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・・・闇に包まれ外灯が点きだした街を、クラブマンは無灯火のまま走り続ける。いつしかパトカーの気配は消えていた。


思ったより追跡が執拗じゃなかったのは、克也たちダミーの3台が囮になっているからなのか。


・・・ヤツら、無事でいるのか・・・


克也は知ってる仲だからまだしも、他のヤツらはなんの面識もない。克也は何と言って協力してもらったのか。


・・・俺だったらそんな見ず知らずのヤツに命を張るような真似はできない。


いろいろ考え出したがやめた。今の俺には振り返るような余裕はないのだ。






市街地の灯りからだいぶ離れた。


俺は堤防を乗り越え雑木が茂る河川敷の林にバイクを突っ込み、しばらくしてエンジンを止めた。


250ccの小さな空冷エンジンのフィンから、熱気が立ち上った。一度スタンドを立てて降りたが思い直してスタンドを上げた。


近くに少し窪地になっている所があったので、そこまで押して行く。スタンドを立てて窪地まで降りて平らな場所に寝転んだ。


重いベストのポケットの弾がジャラジャラと鳴る。腹の底からため息を吐き出し、ハイライトに火を点ける。


数時間ぶりのタバコは、身体中の神経に巡っていくような気がした。肉体も精神も疲れきっているのを感じる。






・・・吹き上げた煙の向こうにニセアカシアの葉が茂っていて、ところどころに星が見えた。


俺は夏の星座は知らない。というか、冬の夜空に光るオリオン座と北斗七星ぐらいしか知らない。






・・・遠くで爆竹やロケット花火の笛の音がする。


耳を澄ますと、若い男女の喚声も聞こえた。対岸の河川敷でやっているのかもしれない。


・・・なぜだか無性に羨ましく思った。


3本目のハイライトを土の中にねじ込み、立ち上がる。堤防道路を走るクルマが遠くに見える。


目は闇に慣れていたので、普通に歩けた。


・・・細いナラの木の根元に手向けられた花の形も判った。俺は掌を合わせはしない。


「・・・まだお前と話す気にはなれねえよ、すべてが終わってねえからな・・・。」ぼんやりと眺めていた。






・・・遠くから「殺気」のようなものが、ジワジワと忍びよってくるのが判った。


考えてみると、ここに歩きついた時から異様な気配はあった。俺はあえて動かずに、背後の殺気に神経を尖らせた。



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