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夜明けの疾走  作者: 村松康弘
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40


沈黙の暗がりでハイライトを灰皿でもみ消した。部屋の照明を点けて、カーテンを引く。


諒子は革のソファーに仰向けの姿勢で、ボンヤリと天井を見つめている。・・・はだけた胸はそのままで、まばたきをしなければまるで人形か死体のようだ。


心が壊れてしまっているようにも見えた。





19:45


玄関の外で鍵束がジャラジャラ鳴る音が、かすかに聞こえる。俺は玄関を入ってすぐの浴室に隠れドアを半開きにした。


ロックが解かれてドアが開き、下駄箱の棚の上に鍵束を放り出す音がする。スリッパを履いて俺の目の前を知らずに通り過ぎて行く。


・・・フジタカズマサ、40歳。誠龍会の準幹部で、表の顔は「誠龍商事 営業部長」。


目の前のフジタは170cmぐらいで体型は普通。少し白髪の混じったオールバックで日焼けした顔をしている。


ゴルフの帰りなのかゴルフウエアを着ていて、半袖の腕は真っ黒に日焼けしていた。






・・・フジタはリビングの手前で凍ったように止まった。当然、諒子の状態を目の当たりにしたからだ。


俺は浴室から出ると、ヤツの後ろに立つ。フジタは驚愕と怒りの眼差しで振り返る。


「てめえは!!」


「・・・やっと会えたぜ、最後のウジ虫野郎に。」


俺とフジタは向き合う、その距離2m。ヤツは怒りの三白眼で俺を睨みつけた。


「クシカワとカザマを殺ったのは、てめえだな!」


「・・・ああ、そうさ。・・・それで今夜はあんたを潰しに来た。」


「一体てめえは誰だ!」


「・・・鬼さ。・・・復讐の鬼だ。」


そこまで言うと空気が緊張してピンと張り詰めた。フジタは俺を見据えたままスリッパを蹴り脱ぎ、上体を低くした。



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