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夜明けの疾走  作者: 村松康弘
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街へ向かう東の空は、濃い青に塊のような入道雲。まさに真夏の色彩を呈している。






途中、公衆電話ボックスに寄る。財布から絵の擦れたテレホンカードを出して、ボタンを押す。


・・・玉井が寄越した銭とともに入ってた便箋の裏に書かれてた「2**-****」


ただそれだけだったが、俺はなんとなく察しがついた。2回のコールでつながった。


「・・・園部です。」


「・・・・・。」


「・・・ショウちゃん?ショウちゃんでしょう?」


「・・・電話、細工されてねえかな?」


「大丈夫・・・それより今どこなの?」


「・・・トシの葬式に出られなくてごめん。」


「そんなことはいいの!今どこなの?」


「顔見せることもできねえ、ごめん。」


「ショウちゃん!・・・お願い、自首して!」


「・・・知ってるのか・・・でも、それはできねえ。」


「ショウちゃんの気持ちはわかるよ・・・でも、そんなことしたって、お兄ちゃんは帰ってこないんだよ!・・・お願いだから自首して!」


「・・・ごめん、それはできねえよ。」


「あたしは何年かかろうと、ショウちゃんが戻るまで待つから!・・・お願い!」


「・・・・・。」


「あたしは、男とかなんとか判らない、・・・でも、生きてるショウちゃんと一緒にいたいんだよ・・・。」


美弥は受話器のむこうで啜り泣いてた。俺は喉が詰まって声も出せなくなったから、受話器を置いた。


「ピーピー」とカードが吐き出されてきた。






作業服屋へ入りベージュの襟付きシャツとグリーンのズボン・グリーンのキャップ・黒縁の度の入ってない眼鏡・安物の腕時計を買う。


日曜日なのでいつもより混んでるスーパーの駐車場にクルマを停め、店の裏手に積まれている小振りの段ボール箱を頂戴する。


市街地へ向かう道路はサンデードライバーたちのノロノロ運転と、夏休みの家族サービスで出かけるレジャードライバーのお陰で渋滞していた。



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