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夜明けの疾走  作者: 村松康弘
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左腕が痛み出した、脈拍と同じリズムでズキズキと存在を伝えてくる。


負担を掛けないために肘掛に載せて右手だけで運転しているが、腕の付け根を縛っているせいか左手は指先まで冷たくなってきた。


俺はドアポケットのREDの小瓶を取り出して、舐めながらクルマを飛ばす。


朦朧とした意識の中で、思考までも麻痺させたくなったからだ。






俺は市街地の外れに向かっている。・・・自分の部屋に戻れずに走り出した時、目的地は考えていなかった。


だが今は「辿り着きたい」という欲求が、身体を・クルマを動かしている。


聴くわけでもなく流しっぱなしのラジオは、日替わりの人気DJの深夜番組をやっていた。






・・・目指していた場所に辿り着いた。


街からさほど遠くもない住宅地の一角の、古びた2階建てのビル。


すぐそばに神社があり、ビルはその鬱蒼とした森の陰になっていて、誰も目に留めないような建物だ。


小さな会社の事務所のように見えるが、社名を示す看板もなく手入れもされていない外観なので、しばらく借り手がついていない空き事務所といった感じだ。


アスファルト舗装の駐車場の入り口には色褪せたカラーコーンが置かれていたため、神社の駐車場にクルマを停めた。


ビルは1階も2階も灯りは点いていない、玄関の白い蛍光灯だけが震えるように点いていた。


俺は手前に開くガラスの扉を開け、非常口案内の緑の灯しか点いていない地下への階段を下りていった。



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