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夜明けの疾走  作者: 村松康弘
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遠ざかる玉井の背中を見送る。


神経も身体もクタクタにくたびれて見えたが、その背には「ちっぽけなガソリンスタンドの親父」とは思えない威厳と殺気が漂っていた。


「・・・親父さんさぁ、夏でも絶対に半袖着ねえんだよ。あれはきっとモンモン入ってるんだぜー。」


・・・いつかトシが俺に話したことを思い出した。


玉井は「誠龍会」と確かに言った、克也が言わない限り知ってるのは俺だけのはずだが・・・。





部屋に戻り、タバコをつまみに酒を呷る。


座っていても目が回るほど酔っ払って寝転んだ。





「山浦くん、トシはもう行っちゃったんだよ。・・・だからもう忘れていいんだよ、いつもありがとうね」・・・トシのお袋さんが俺に言う。


そして暗闇に向かって歩いていく、俺はそれを追いかけるが全力で走っても追いつかない。


進まない俺の後ろから新津と片山が追いかけてくる、誠龍のヤツらのベンツが追いかけてくる。


拳銃の跳弾が耳元を掠めて、すぐ後ろまで迫って来た。


・・・俺は自分の叫び声で目を覚ました、全身汗まみれだった。


16:15 


閉め切ったガラスの向こうで蝉が騒いでいる。


起き上がりテーブルの上のナイフを持って、キッチンの流しでナイフを洗う。


小物入れから中砥石と仕上げ砥石を出してナイフを砥ぐ。


親父ほど上手くは砥げないが、そこそこの切れ味になったのを左親指の爪で確認した。


軽くシャワーを浴びて身支度を整える。白いTシャツといつも履いてる膝の抜けたブルージーンズだ。


ナイフと拳銃をポケットに突っ込み、返り血が沁みてるコンバースを履き駐車場まで歩く。


・・・夕闇が迫ってきた近くのどこかで花火が上がっているようで、頻繁に地鳴りと爆音が聞こえる。


俺は駐車場からクルマを出すと、花火に向かう浴衣姿の子供や手を引く年寄りに気を払いながら繁華街へ走って行く。



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