表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜明けの疾走  作者: 村松康弘
2/78

俺は布団から上体を起こし、部屋の隅に置いてある懐中電灯を手探りでつかむ。


そいつは目標を照らすライトの他に、蛍光灯・黄色いハザード・赤いシグナルのついた馬鹿デカい懐中電灯。


そろそろとカーテンをめくり、ガラスの向こうにライトを向ける。


一瞬ギョッとなった。


ただでさえ異常な時間の異常な訪問客。


照らされた男の顔は左瞼が大きく腫れあがり、鼻から頬にかけて乾いた血がこびりつき、半開きの唇から血混じりの唾液を垂らしている。


「・・・トシユキか?」


・・・園部俊之。俺が高校の頃からつきあってる悪友。


本当は気のいいヤツなのにそれを隠すかのように、いつも虚勢を張って街中でトラブルを起こす。


腕力もないクセにケンカを売ったり買ったり、酒も弱いクセに「駅前の砦って飲み屋にお前の好きなバーボン入れといたから、好きなだけ飲めよう」ってカッコつける。


優しさをカモフラージュするためにイキがってる不器用で憎めない男、それがトシユキ。




鍵を開けガラスを開けると、「ショウ、わりい・・今夜泊めてくれねえか。」と言い、その場にへたりこんだ。


トシの靴を脱がせ部屋に引きずりこみ、キッチンの雑巾を固く絞ってヤツの薄汚れたツラを拭いてやる。


「おー、痛えよー!」と開けた口の前歯は欠けていて、老人の不衛生な口の中みたいだと思った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ