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夜明けの疾走  作者: 村松康弘
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引き出し式の灰皿はハイライトの薄茶色のフィルターが溢れている。


喉がイガラっぽい。


・・・父親と子供が歌う何かの童謡の声も止み、一階の浴室らしいオレンジ色の灯りが消えた。


「早くネンネしないと鬼が来るぞー!」・・・また同じフレーズが聴こえた。


・・・俺も何年かしたらこんな風に家庭を持って、ささやかな幸せを感じ、ささやかな幸せを守るために生きる人間になるのか。


今のところ俺にはそんな願望のカケラもない、特定のオンナを持つ気もない。


仕事は好きだと思うが、将来自分の工場を持つとかそういう純粋な夢や目標もない。


・・・うまく言葉に出来ないが、肌がヒリヒリするような何かを、ずっと昔から待ってる気がする。





・・・轟くエンジン音とともに、紺のグロリアがハイビームで駐車場に突っ込んできた。


運転席のドアが開き、玉井が飛び出して来た。


ドアを閉めもせず俺のクルマの方へ駆け寄って来る。


俺はドアを開きクルマを降りた、煙とともに吐き出した息が震えていた。


全身が不吉な予感を察知して、嫌悪感の塊になっている。


「俺のクルマについて来てくれ。」


「なにがあったん・・・」俺の言葉も聞かず踵を返すと、玉井は自分のクルマに乗り込んだ。


助手席には克也の姿が見えた、蒼白な顔をしている。


素早くUターンして飛び出す玉井のグロリアのあとを追って走り出す。


早鐘のような心臓の鼓動を感じながら、交通量の少なくなった夜道を突っ走る。


法定速度で走ってる遅いクルマを2台のセダンは次々に追い越しながら。



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