第一章7 女神と冒険者とダンジョン(2)
「なあ、ところで何でダンジョンがあるんだ?」
「ずっと昔、魔王が人間を滅ぼすために作ったのよ」
「そうなのか」
「魔王はもう討伐済み。ダンジョンは、その魔王が後世に残した遺産ってところよ」
「なるほどー」
……。
あれ?
魔王は討伐されたのか?
俺たちの最終的な目標は魔王を討伐することじゃなかったっけ?
「なあ、俺たちの討伐する魔王は別の魔王ってことか?」
「そうよ」
リリアは指で宙に円を描く。
グワン、と音を立てて現れるホログラム。
表示される、様々な魔物たち。
リリアが指をスワイプさせる。
「私たちが討伐する魔王はこいつ」
表示されたのは、いかにも魔王だった。
屈強な体に禍々しい仮面。
左手に持つ杖からは、黒いオーラが漂っている。
ひいっ、恐ろしい!
「この世界では、グレイル・ドボルザークって呼ばれてる」
「ほーん」
「どうしてドボルザークが新たな魔王として君臨したんだ?」
「なぜ再び魔王が誕生したかってこと?」
「そう」
「はあ」
女神は呆れ顔。
「愚問ね」
ぐ、ぐもん?!
「秩序が消えたことで争いが起こり、その争いが新たな秩序を生んだのよ」
「前代の魔王が倒されたあと、統率の取れなくなった魔物たちは争い始めたの。その争いを勝ち上がった勝者が、この魔王グレイル・ドボルザークってこと」
「まあ、あくまで推測。いくら女神だからって詳しいことはわからないわ」
なるほど。
「そして、ついでに説明しておかないとね」
女神はおれの顔を覗きこむ。
「私たちの使命について話すわ」
「気になります」
「新たに君臨した魔王グレイル・ドボルザーク、強すぎるのよ」
「マジか」
「マジよ。強すぎて、この世界の力だけでは手に負えないの。このままではこの世界が滅亡してしまうから、私たちがチートスキルで討伐するのよ」
「責任重大じゃないですか!」
「そうなの」
「俺にできるかな……」
「できてもらわないと困るわ」
リリアはこちらを見てほほ笑む。
「だから、一緒に頑張ろうね、ハルト」
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