第一章11 女神と冒険者とダンジョン攻略
「さあ、次はグーグリオ二匹が相手よ」
「手順はさっきの戦闘と同じよ」
「了解です、隊長」
俺は地面を這う魔物の赤い目を睨みつける。
「グルルル……」
二匹のグーグリオが俺を威嚇する。
俺は短剣を構える。
グーグリオの跳躍。
俺は一歩後ろに下がる。
グーグリオが着地する。
すかさず、両足を斬る。
もう一方のグーグリオも跳躍する。
今度はグーグリオの跳躍に合わせて後ろに回り込む。
そして、両足の甲に短剣を突き刺した。
「グォォル……」
グーグリオがぐったりとして動かなくなる。
ようし、とどめだ。
『地炎』
地面に亀裂が入る。
その割れ目から噴き上がる炎。
浮揚、反転。
中空に放り出されたグーグリオは、無様に身を翻し、背中から地べたへ墜落した。
俺は短剣を二匹のグーグリオの腹に突き刺した。
青い血が飛び散って服を汚す。
「うわぁ、だいぶ服が汚れるわね」
「……早く街に帰って洗濯しないとな」
「そうね」
〜〜〜〜〜〜〜
「さあ、とどめよ!」
『地炎』
グーグリオの体がふわりと浮き上がった。
俺は地面を蹴ってグーグリオの腹に肉薄する。
「いまだ!」
俺は宙に浮いたグーグリオの腹を短剣で串刺しにする。
一匹。
二匹。
三匹。
四匹。
着地。
「見ろよリリア、グーグリオの串焼きの完成だ!」
「すごい!見るからにまずそうだわ!」
〜〜〜〜〜〜〜
「これでグーグリオは全て倒したはずだわ」
「ということは……?」
「ハローラ王国、東ジェイダルノ奥のダンジョン……攻略完了よ!」
「やったあー!」
「おめでとう! 記念すべき一回目のダンジョン攻略は、完璧な出来だったわ」
「さすがだな、俺」
「そうよ、さすがだったわ」
「隊長もサポートありがとうな」
「いえいえー」
「……ところでさ」
「ん?なんだい、隊長」
「その隊長って何よ。隊長、じゃなくて、なんか……もっと、こう……かっこいい呼び方とかないの?」
「えぇ……」
「そうねぇ……もっとかっこいい呼び方……」
「……別に隊長でいいんじゃないかな」
「そうだ!」
無視された。
「パーティーメンバーを引っ張る役割をしているから、パーティーの長として、『リーダー』って読んでみるのはどうかなあ」
キラキラした眼差しでおれを見つめるリリア。
「へ?」
「リーダー」
ああ、これはきっとリーダーって響きがかっこいいから、そう呼ばれたいだけだな……。
……仕方ないな。
「リーダー、お疲れ様」
「え、あ、うん。……お疲れ様」
リリアが随分と嬉しそうな顔をする。
「リーダー、今後の予定は?」
「へぁ?! あ、こ、今後の予定ね」
「リーダー」
「え、あ、うーんと、こんごのよていは……」
「リーダー」
「だからなによ」
「リーダー」
「……うへ、えへへ」
「リーダー」
「……へへ、えへへ」
「リーダー」
「えへへ……」
両手で頬を挟んで嬉しそうに悶えるリリア。
「えへ、りーだー、だって。そっかぁ、私、リーダーになったんだぁ」
あー面倒だなぁ。
置いていくか……。
「えへ、リーダー……やったぁ……わたし、リーダーになれた……」
さあてと、これが宝箱か。
「えへへ……わたし、もう子供じゃないわ! だって……えへ。りーだーだもん……」
お、ポーションだ。
……なんのポーションかわからないな……。
まあ、とりあえずもらって行こう。
「ままに報告しないとっ。だってリーダーになれたんだもん。きっとままも喜んでくれるわ!」
俺は階段を上がってダンジョンの外へと向かう。
「い、いけない。私としたことが、うっかりして……そう、パーティーのリーダーとして、ハルトに今後のパーティーの動きを伝えないと……とりあえず宝箱の中身を回収して……って、あれ?」
リリアは周りを見回す。
「ハルトは?」
「おーい、はるとー! どこ行ったのー」
「リーダーを置いていくとは何事なのよ。全く……」
次回更新 第一章12 女神と冒険者と新たな仲間(1) 2/12 00:00更新予定
パーティー仲間が増えます




