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勇者召喚されたけど、勇者の結末はロクでもないのが相場なので疑ってかかってます~やだこの勇者全然言うことを聞いてくれない~  作者: ターシ


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第1話 勇者召喚? なるほど、処分前提か

コメディ寄りです。100話までには終わる予定ですので気軽に読んでください。


「――勇者よ。どうか我らの世界を救ってほしい」


 開口一番、それだった。


 眩しい光が収まったと思ったら、目の前には玉座。

 その上に座る王様が、いかにもそれっぽい声でそう告げてくる。


(テンプレだ……)


 お決まりのセリフ。

 お決まりの展開。


 ということは――最後に起きることも、お決まりだ。


(魔王を倒した後に用済み。

 力を持った危険人物として処分。

 あるいは「実は元の世界には帰れない」と知って暴れる前に始末)


 はい、詰み。


(ダメだこれ。なんとかしないと)


「突然の召喚、許してほしい」


 王様はそう言って、深々と頭を下げた。

 周囲の大臣や貴族たちも、一斉に礼をする。


 ……うん。丁寧すぎる。


(ここまで丁重だと逆に怖いんだが)


「我が国は今、魔王の脅威に晒されている。すでに幾つもの国が滅び――」


「なるほど」


 思わず相槌を打ってしまった。


 だが、話を聞きながら周囲を見回して、違和感が増していく。


 金ピカの装飾。

 宝石だらけの王冠。

 大臣たちの服も、どう見ても戦時中のそれじゃない。


(……本当にピンチ?)


 世界の危機にしては、余裕がありすぎる。

 というか、見栄えを気にしすぎだ。


(ああ、なるほど)


 俺は一人で納得した。


(俺を“最後の希望”として演出してるわけだ。

 使い捨てる予定ではあるが、それまでは英雄っぽく見せないと世間体が悪い)


 壁際に並んだ水晶が目に入る。

 どれも淡く光っている。


(……監視カメラみたいなもんか?でも数が多くない?)


 王様の話が一段落したところで、大臣が前に出てきた。


「勇者様。まずは、状態を確認させていただきます」


「状態?」


「はい。ステータスの確認を」


 空中に、半透明の板が浮かび上がる。


「……あ、これ出るんだ」


 やっぱりな、と思いながら表示を眺める。

─────────────────────────────────────

 名前:相川 恒一(あいかわ こういち)

 年齢:17

 職業:勇者

 称号:異世界人/勇者

─────────────────────────────────────


 数字を見て、内心で舌打ちした。


(高すぎる……)


 先ほどの王様の説明の中に、ステータスの説明もあった。


 だがここに表示されているのはその説明よりもはるかに高い、初期値とは思えないステータス。

 スキルポイントの欄には、見慣れない数字が並んでいる。


(これ、短期間で使い切らせる前提だろ)


 強くして、戦わせて、終わり。

 そういう設計にしか見えない。


「おお……成功だ……」


「さすがは異世界より召喚された勇者様」


 周囲は感動しているが、俺の中では警戒アラートが鳴りっぱなしだった。


「勇者殿?」


 王様が穏やかに声をかけてくる。


「何か、気になる点でも?」


 やばい。

 ここで疑ってるのがバレたら、拘束一直線だ。


 俺は一瞬考えてから、当たり障りのない顔で答えた。


「いえ。ただ……」


「ただ?」


「責任重大だな、と」


 嘘は言っていない。


「この力を、どう使うかで結果は大きく変わると思いまして」


「……なるほど」


 大臣が深く頷いた。


「力に溺れぬ覚悟……さすが勇者様」


(いや、溺れたらそれを理由に処分してくるだろ...)


「では勇者様。今後の方針ですが――」


 王様が期待に満ちた目でこちらを見る。


 俺は静かに息を吐いた。


(よし。方針は決めた)


 この世界は救う。

 魔王も倒す。


 だが、国は信用しない。

 信用したら、たぶん死ぬ。


 魔王を倒すまでの期間は手を出されることはないはず。その間に何か対策を考えよう。


 だからまずは――


「慎重に、いきたいですね」


 それっぽい言葉で、ごまかしながら過ごしていこう。


「なるほど……!」


 なぜか周囲の人たちが感心したような声を上げた。


(……なんでだよ)


 勇者としての物語は、こうして始まった。


 ――すれ違ったまま。

今日中に7話まで投稿します。

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