第七十三話 こんなメイドは嫌だ。
あまり合唱コンクールまで時間がないし、まずは本格的に混む前に食事を済ませたい。
2階は2年生の教室があり、出店で賑わっていた。
どのクラスも勧誘がすごい!
「どうする?平井?」
「うーん、やっぱり2年C組かな?」
「え、なんで?」
「2Cには北村先輩がいるんだぞ?」
「北村先輩?」
「知らないの?なんかの雑誌のモデルをやってるらしくて超絶美女って噂らしいよ」
「まじ?見てみたいなそれは!でもなんの店?」
「あれみてみ」
僕は2年C組の看板を見た。
それはコスプレ喫茶だった。
なるほど。理解した。北村先輩がどんな服装をしているかということだな。
「いらっしゃいませ!次、ご案内しますー!」
教室の入り口から出てきたのはメイド服姿の美少女。
あれだ。間違いなく北村先輩だ。
みる人を皆一目惚れさせるかのような人だ。
「やばいっしょ?」
「やばいな。そして列もやばいな。てかあいつら何周もしてないか?」
「梵。北村先輩に接客してもらうために周回してるんだよ」
「そこまでか⁉︎」
「とりあえず並ぶぞ」
「おう」
僕と平井は列の最後尾に並んだ。
周りの話から察するに僕たちの推測は当たっていたようだ。
順番に案内され、案内された店員がその席の担当となるそうだ。
目の前までお迎えにきてくれるのだが、しばらく北村先輩は来ていない。
つまり、自分たちのターンに来る確率が高いとみた。という顔を平井がしていた。
しばらくしてやっと次が自分たちの出番。
ソワソワしながら待っていると部屋の中から人が出てきた。
それは……
「先輩⁉︎」
僕たちは思わず叫んだ。
それはさっきと同様のメイド服を着用し、白化粧をした野球部の入間先輩だった。
明らかに肩がパンパンだったし、足が太い。
「いらっしゃいませ!」
野太い声で歓迎された。
こんなメイドは嫌だ。
僕たちは席へ案内された。
椅子に座りサッと見渡したが北村先輩らしき人がいない。
もしかして休憩に入ったのか?
「おい、あれ入間先輩だよな?」
「間違いない。あまりにも男性ホルモンが強すぎるし、メイドにしては肩の筋肉が発達しすぎだろ。」
「ばか、平井」
入間先輩がちょうど後ろからおしぼりを持ってきた。
「おしぼりです。」
「あ、どうも」
僕たちの肩身はすっかり狭くなった。
僕たちがメニューを見ながらオーダーを決めていると斜め前にいた入間先輩が配膳をしていたのが見えた。
「こちら、オムライスになります!」
「うわー美味しそう!」
「ではいきます。萌え萌え・キュンッ‼︎」
「プフッ‼︎」
こんなに野太い萌キュンはないだろ⁉︎
ぎこちないながらも、しっかりメイドをまっとうしている先輩を見て吹いてしまった。
「やばいぞ、梵こっちきてる。」
僕たちはメニューで顔を隠すようにしてやり過ごそうとした。
ちょうど僕の後ろに入間先輩が立った。
ものすごい圧を首に感じた。
やばい、死ぬ。首取れる。
「あーここから私が担当変わりますね〜(ほら裏行ってて」」
その声と共に僕の首に感じていた圧がスッと消えた。
「担当変わりました。天使のキタムエルですッ‼︎」
「注文がお決まりでしたらまたお声がけください。」
あ、神。
現れたのはメイド服ではなく天使姿の北村先輩だった。
初めてちゃんと見たが確信しかなかった。
状況も相まって本物の救いの天使に見えた。
平井と僕は目をとじ彼女に祈りを捧げた…
そして目を開けると…
つづく
ここまで読んでいただきありがとうございます。
忙しい時期が終わったのでまた投稿の方頑張ります!
今後もよろしくお願いします。




