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僕の青春  作者: しらたま
第五章 僕の移動教室
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第四十九話 これが青春なのか?

きららさんがバランスを崩して僕の方へひっくり返った。


「ちょっと、大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫、ハハハハハ」


土に上に仰向けに倒れながら笑っていた。

顔に泥もついてるし、何でこんなにも楽しそうなんだろうと思った。

余計なお世話かもしれないが、ふとコインランドリーの時のことを思い出した。

あの時の彼女の顔から察するに何か抱えてることがあるんじゃないかと…。


「どうしていつもそんなに幸せそうなんですか?」

「何でやろな?」

「・・・・・・・。」


何かを待つように僕をみつめてきた。


「真面目にやってきたからよ、ね♡」


僕は棒読みで言った。


「アーハーハッハッハッハー!」


そう言ってきららさんは立ち上がって笑い出した。


「きららさんはいつも変なところからネタ引っ張ってくるよね」

「まぁねー、でも大体キミ知ってんじゃん」

「たまたまです」

「まあでも、ただ真面目に目の前のことを全力で楽しんでるだけだよ。だってもったいないじゃん、せっかく楽しいことがたくさんあるのに。」

「そうですね。」


たまに真面目に答えるきららさんの表情はいつもと違っていて少し大人に見える。

もしかしたら誰よりも真面目に楽しんでいるだけなのかもしれない。

額から流れる汗が光ってみえた。


「笑顔が…似合うと思います。」

「おら!」


背中を軽く押された僕はずっとしゃがんでいたので、足が咄嗟に動かず前に倒れてしまった。

不運にも人参やらスコップやらを持っていたので手をつくのが遅れてしまった。


「いいこと言ってたと思うんですけど…僕怒ってもいいですか?」

「僕ちゃん、こわーい」


そう言ってきららさんは瀬川さんと田中さんの後ろに隠れた。

僕ちゃんってなんだよ。確かに自分ことを僕って言ってるけど。

柄にもなく彼女を追いかけてみた。


「ハハハハハハハ‼︎」


三人は僕の顔を見て笑っていた。

なんか青空の下で彼女らの笑顔を見て、さっきまでちょっと怒っていたのが吹き飛んだ気がした。

これが青春なのか?


「お、大丈夫か?」

「ありがと」


泥を拭ってくれたのは日下部だった。

やっぱり、君が一番イケメンだよ。

男の僕もさすがに惚れてもおかしくない。

きららさんがその様子を見て言った。


「BLだ」

「おい、日下部の優しさに謝れ」

「BLでもいいじゃんね?田中さん」


田中さんは答えづらそうな質問だったが小さくうなずいていた。

この後はちゃんと収穫しつつも、泥を顔につけあったりと子どもに戻ったように自然を楽しんだ。

土の匂いや、風の揺らぎが僕たちを繋いでくれた気がした。

たった一日の短い時間。

永遠のようにも感じるし一瞬にも感じた。

この不思議な感覚が僕は好きだ。



そんな感じで僕たちの班の農業体験は無事終了した。

どの班も疲れていたからか移動中のバスはとても静かだった。


収穫した野菜の入った袋を大事そうに抱えているきららさんの寝顔はなんとも子どもらしい。


「へーー」

「な、なに?」

「別にー」


ゆっちゃんが話しかけてきた。


「なんのへーなのさ」

「ずっと見つめてるなーって」

「いやちゃんと野菜持ってるか確認しただけだよ」

「そうなんだー」

「うん。というか疲れてないの?みんな寝てるのに」

「疲れたけど」

「けど?」

「うるさい、寝る」

「え?」


全く意味がわからなかった。

けどそれ以上聞く元気もなく、バスの心地よい揺れと共に寝てしまった。


つづく

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今後もよろしくお願いします。

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