第四十八話 小さいアフロ
その後、逃げ足で席に着いた。
「おはよ、なんか元気ないじゃん、どしたの?」
「おはよ、ゆっちゃん。そう?普通だけど」
「てか髪⁉︎ プハハハハハハハハ!」
ゆっちゃんがツボっている。
「髪?」
「何その小さいアフロ!どうやって寝たらそうなんの」
そうだ、僕はかなりの癖っ毛で朝やばいんだった。
もしかしてこれみて、姫か、さきちゃ笑ってたのかな?
そう思うとカーッと顔が熱くなった。
「小学校の時も移動教室もそんなだったね」
「そうだっけか、恥ずかしい」
僕は髪をつぶすように抑えつける。
ふと僕は気がついた。
「あれ、きららさんは?」
「まだ寝てるよ?」
「自由だな」
「そうね、彼女ほんと自由。全然寝ないし、ずっと話してた」
「そうなんだ。ハハッ。何話してたの?」
「え?話?」
「うん」
「えーどうだったかな?忘れた」
「え?大体恋バナとかじゃないの?」
「そうだっけな?多分違かったような」
なんか要領を得ない。
なんか隠されてる?あれ男子だから?もしかして秘密にされてる?
僕って信用ないのかな…。
「そっか。」
僕は引き攣りながら答えた。
朝食を終え、部屋で農業体験の準備をしていた。
動きやすい格好に着替え、軍手と野球帽をリュックに入れバスへ向かう。
バスに揺られること一時間。
農地らしきところへ到着した。
バスから続々と生徒が降りていく。
空気が美味しい。すーっと透き通るような空気だ。
あたり一面畑で奥には森が見えた。
都心とは違い、涼しさというか少し寒いまであった。
「空気うめー。てか腹減ったー」
「朝ごはん食べないからですよー」
「仕方ないいじゃん眠かったんだもん」
「昼ごはんは近くのレストランらしいですよ?」
「まじか、楽しみ!」
「まだ1時間くらいはあるけど」
「うげー」
農家さんの挨拶を終え、まずは農場の全体の見学。
一周見たところでお昼って感じだ。
農場を回っている最中、終始きららさんは腹減ったーっと言っていた。
そのうち、生の野菜を食べるんじゃないかと正直少し不安だった。
「はい、それではここで一旦お昼にします。お昼はここの農家さんが運営するレストランでいただきます。中には一般のお客さんもいるのでちゃんと周りを見て行動をするように。特に渡辺、暴れないようにね」
笑いと共に話は終わり、僕らはレストランの中へ入った。
木造のロッジのような作りで、かなり大きい建物だ。
物販コーナーもあり、複合施設のようだ。
もうすでにいい匂いがプンプンとしている。
僕らの前にお食事プレートが並べられていく。
デミグラスソースのかかった自家製ハンバーグに自家製野菜のグリル。
オニオンスープとキラッキラッの白米。
ご馳走だ。みんな目を光らせていた。
「いただきます!」
ご飯はどれも絶品で何重にも味が重なり合っているような味わいだった。
特にデミグラスソースは持って帰りたいくらい美味しかった。
すっかり満腹で満たされた僕たちは少し休憩をして今度は農業を実際に体験することになっている。そこからは班ごとに分かれて収穫した食材でカレーを作るという何ともハードな予定となっている。
「んーーほいッ」
次々にきららさんがニンジンを抜いていく。
しゃがみ体勢をずっとしているので足が痛くなってきた。
僕は真後ろにいるきららさんに聞いた。
「順調ですか?」
「おーよ、順調順調!」
「今そっち何本ですか?」
「えーと、こっちは…おっとっと…」
ドサッ!
きららさんがバランスを崩して僕の方へひっくり返った。
つづく
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