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僕の青春  作者: しらたま
第五章 僕の移動教室
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第四十六話 星空観察

「え?何が?ゴホゴホッ」


喉に詰まりかけた。


「大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫。気にしないで、ハハ」


咳で誤魔化す形となった。もしみんなに知られたらこの先学校で人権がない。


「ごちそうさまでした!」


夕食の時間は終わり、みんなであいさつをした後、各部屋に戻った。

各部屋に戻った後、しおりを確認した。

食事の後は一旦、星空観察まで休憩となっていた。

今更だが、入浴の時間が決まっており、僕は30分早く入ってしまっていたみたいだ。

だから看板とかなかったのかな。


「梵―そう言えば、なんで風呂場で外にいたの?」


そう話しかけてきたのは日下部だった。


「あーあれはちょっと外の空気を吸おうかなってそしたら鍵閉まってて」

「そうだったんだ。いやーびっくりしたよ。外にいると思ったら、中に入った瞬間倒れるから」

「あーその節はありがとうございました。」


知らなかったとはいえ、女湯に行っていたとは言えない。


館内放送が鳴った。


「星空観察をします。生徒は裏の広場前に集合してください。繰り返します…」


放送後、僕たち生徒はぞろぞろと外の広場へ向かった。

広場は広々とした草っ原で街灯もなく月明かりが芝を青白く照らす。


風が草木を揺らし、音を立てる。

この音を聞いていると自然と対話しているような気がして心地いい。

だんだんと生徒たちが集まってくる。

点呼が取れた後、草原の中央まで僕らは移動した。


草原の中央まで来ると宿舎の灯りがなくなり、本当に真っ暗だ。

草原の中央には特大のレジャーシートが敷いてあり僕たちはそこに座る。

好きに座っていいらしく、僕はなんとなくゆっちゃんたちの後ろに座った。

というか姫川さんがいたからと言うのが正しい。


施設の管理人さんが説明を始めた。


「皆さん上を見てください。」


生徒が一斉に空を見上げた。


「うわーーーーーーーー」


夜空には絵に描いたような満点の星空。

街灯がないと、こんなに見えるものなのか。

さっきまで少し怖さまであった夜の草原が急にロマンチックになった気がした。


「有名な夏の大三角形はデネブ、アルタイル、ベガで構成されています。真上から南西にあたりに見えています。」


生徒たちは体をひねり、夏の大三角形を探す。中には全然違う方も見ているやつもいるし。

おしゃべりに夢中なやつもいる。てかなんかイチ…いやいいか。見なかったことにしよう。


管理人さんが説明を続ける。


「少し長くなりますが星座のとあるお話をします。」


『大神ゼウスはしばしば人間や女神に恋をし、そのたびに正妻ヘラの嫉妬を買いました。彼女は夫を責めても無駄だと知っていたため、その怒りはゼウスの愛人や子どもたちに向けられます。なかでも、ゼウスとアルクメネーの子 ヘルクレスは、ヘラの最大の憎しみを受けた存在でした。

ヘルクレスは贖罪のために「12の試練」に挑みます。そのうちのひとつが、再生する九つの首と毒を持つ怪物ヒドラの退治でした。

戦いの舞台となったのは、ヒドラが棲む沼。そこにはヒドラの友である大蟹カルキノスがひっそりと暮らしていました。

ヘラはヒドラを助けたいカルキノスに囁きます。

「親友を守りたいでしょう? ヘルクレスは必ずまた来るわ」

ヒドラの戦いを遠くから見ていたカルキノスはその言葉を信じ、心に誓いました。

「困ったときには駆けつけよう」と…。

やがて、ヘルクレスが再びヒドラを討ちにやって来ます。剣とたいまつで次々と首を落としていくヘルクレス。木陰から見ていたカルキノスは意を決して飛び出しました。

しかしその勇気もむなしく、ヘルクレスの踵に踏みつぶされて命を落としてしまいます。

親友を救えぬまま倒れたカルキノスを、ヘラは哀れみました。

その勇敢さを称え、彼を夜空に上げてかに座としたのです。ヒドラもまた星座にされ、今も空で仲良く並んで輝いています。』


なんとも虚しい、かに座。管理人さんはなんでこんな話をしたんだろう。


ツンツン。


体育座りをしている僕の足が突かれた。


ツンツン。


また、突かれた。

僕は突いている指を追うように視線を向けた。

姫川さん。こっちは向いていない。思惑がわからないけど、星空の下だとどうにも浮き足立ってしまう。


するとこっちをチラッと見た。目が合った。

ニコッと笑い、そして再び前を向いた。


つづく


ここまで読んでいただきありがとうございます。

少し間が空いてしまい申し訳ありません。

今後もよろしくお願いします。


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