第四十話 母親の勘、恐るべし。
やべー、どうしよラインだと反応わかんないから提案しづらい。
さっちゃん、さきぴー、ひめさき、きき、さきキュン
考えれば考えるほど変なのが浮かんでくる。
さっき、ゆっちゃんに相談すればよかった。
僕がリビングでのたうち回っていると
「どしたん?」
「あだ名をつけないといけなくて困ってる」
「普通に〇〇ちゃんでいいんじゃない?」
「そっか別に普通でいいのか」
てか僕、女の子のあだ名って言ったっけ?
母親の勘、恐るべし。
梵 あきのライン
梵 「あだ名のことだけど、さきちゃでどうかな?」
僕は「さきちゃん」と打ったつもりが打ち漏れで「さきちゃ」になってしまった。
訂正しようにもすぐ既読がついてしまったため、下手に動けなかった。
梵 あきのライン
姫川「いいじゃん!かわいい!さきちゃって呼んで!」
梵 「気に入ってくれて良かった、呼びます!」
姫川「うん、やったー」
梵 「ではまた学校で!」
姫川「はーい、おやすみ」
梵 「おやすみなさい」
なんとかなった…のかな。
けど「さきちゃ」って呼ぶのめっちゃ恥ずかしい気もする。
呼べるかな…。
あれから一週間が経った。
姫川さんとタイミングというかすれ違いで話す機会がなく、まだあだ名は呼べていない。
ますます呼びづらい気が…。
そんな中、学校では新しい行事が動こうとしていた。
帰りのホームルーム。
いつも通りザワザワしている教室。
隣のきららさんは人気者になりすぎて、実はあれ以来あんまりちゃんと話せていない。
先生が今日の議題を話した。
それは移動教室が月末にあり、それの班分けをするというものだ。
これもまた、席替えレベルで教室が騒ぎ立つ。
他のクラスでも同様のことが起こっているのか、騒がしい。
どうやって決めるのかな、好きな人と組むとかだったらあまっちゃいそうで怖い。
先生がプリントを配り始めた。
なになにーとプリントを受け取るとそれはどうやら、移動教室のしおりらしい。
誰か絵が上手い生徒が書いたのか前面には漫画っぽいイラストが書いてある。
開くといろいろと行程表が書かれていた。
ペラペラとめくり最後のページを見たときに僕はドキッとした。
そこには部屋割りと班分けが記載されていた。
班分けはどうやら決まっていたらしい。勝手に今から決めると思い込んでいたけど。
僕はすぐに自分の名前を発見した。
僕の班は僕ときららさん、瀬川さん、日下部、田中さんだ。
とりあえず、日下部がいて良かった。
瀬川さんもまあ面識はある。
田中さんとは小学校も同じだったけどほとんど話したことない。昼休みに図書室で本を読んでいる物静かな女子って感じかな。
そして黒須きらら。この子がいると何が起きるかわからないから不安だ。
先生たちが事前に決めていたのは僕的にはまあ良かった。班も悪くなかったし。
部活帰り。
僕は部活の先輩に移動教室のことを聞きながら帰っていた。
何をやるかとか、どんなことが起こるとか。
どのくらい脚色しているのか定かではなかったが、一つ興味がそそることを聞いた。
「やっぱ、フォークダンスのあと告白して付き合うみたいなの多かったよな」
「多かったわ。移動教室マジックみたいな」
「あれはジンクスでもあんのかね、一緒に踊ったら結ばれるみたいな」
「なんか先輩から聞いた話だけど曲の最後に踊ってた人と結ばれるらしいよ」
「まじ?そしたら俺佐藤だったんだけど」
「佐藤か、佐藤は彼氏いたもんな確か」
先輩たちが移動教室の思い出を語りっていた。
僕はそのジンクスとやらが気になってしょうがない。
「あのー、曲の最後ってどうやってわかるんですか?」
つづく
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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