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僕の青春  作者: しらたま
第三章 僕の夏休み
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第三十二話 行動と思考の順番が逆

僕は2人の会話に切り込むように言ってみた。

少し今泉さんをからかってみようかなって。


「ほら!」

「……」


まず反応したのは今泉さんママだ。

その後、不貞腐れたように今泉さんは口にパスタを頬張った。

それをみて今泉さんママが微笑んでいた。

もしかして僕怒らせちゃったかな?


食事が終わり、僕は今泉さんママと食器洗いをしていた。

その間今泉さんは弟を寝かしつけている。

僕はさっきのことが気になり質問してみた。


「ゆっちゃん怒ってないですかね?」

「怒ってないよ〜!逆じゃない?」

「逆?」

「あっそういえば話変わるけど、あきくん体育祭すごかったね!」

「あ、どうも」

「あの日の夜、ゆっちゃん、ずっとあきくんの話していたよ」

「そうなんですか、なんか恥ずかしい」

「えーでも実際大活躍だったじゃない」

「足だけはなんか速くて」

「足速い人がいいって言ってたよ」

「え?何の話ですか?」

「さあなんだっけ」


そう言って今泉さんママはニコニコしながらとてつもない手際で食器を洗っている。

唐突だったから動揺したけど、一旦忘れよう。


片付けもある程度終わり僕はここらへんで帰ることにした。

あんまり長く人様のうちにお邪魔するのも悪いと思ったから。


僕が玄関で靴を履き帰ろうとしている頃、ちょうど弟を寝かしつけた今泉さんが2階から降りてきた。

降りてくるとすぐさま靴を履き


「途中まで送ってくる〜」


とお母さんに聞こえるように大きい声で言った。


「別にすぐ着くしいいのに」

「いいのいいの」


僕は家も近いし別に大丈夫と伝えたが、聞く耳持たず。


僕の家まではまっすぐ進み神社の手前で左に曲がるともう着いてしまう。

大体5分くらいだ。


「ごちそうさまでした、お邪魔しました!」


と僕は台所にいるお母さんに聞こえるように挨拶し家を出た。


横並びで僕たちは暗がりの夜道を歩いていた。

街灯の近くじゃないとかなり暗い。

僕は街灯が過ぎる度に顔色を目線で(うかが)った。

なんか元気ないというか怒ってんのかな。

無口だし、歩くのが遅すぎて歩幅の調整が難しい。


「ごめん」


僕はつぶやいた。


「なにが?」

「いやその名前?」

「なにそれ?」

「ん、なんでもない」


フラットな感じというか棒読みで会話をした。

4分の直線で話したのはこれだけ。

なんでこんな微妙な空気を作り出しているんだろうか。

神社の前に着いた。

多分7分くらいかかった。


「じゃ、またね」

「うん、また。お見送りありがとう」

「うん」


僕は手を小さく振り、反転し家に向かって歩きはじめた。

なんか、何かを間違えた感が異常に残っていた。

ゆっくりと振り返ってみると

今泉さんはもう引き返したのか姿は見えなかった。


再び振り返り、家へ向かって3歩ほど歩いた時


「あきくん、じゃあね!」


後ろから声が聞こえた。

僕はすぐさまに振り返ると今泉さんが大きく手を振っていた。

暗かったけど多分笑顔だったと思う。思いたい。


「じゃあね!ゆっちゃん!」


僕も間髪入れずにすぐに手を大きく振り返した。

勢いよく反転して、今泉さんは小走りで帰って行った。


僕はわからなかった。

何で静かな夜の住宅街で僕たちはあんな大きな声でバイバイを言ったのか。

でも正解だった気がした。

僕には、行動と思考の順番が逆になっている時がたまにある。


夏休み 完


つづく

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今後もよろしくお願いします。

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