第三十話 夏休み最終日は平和に終わるはずだった。
僕たちは駄菓子を買い、お店の外で一緒に食べることにした。
冬が一吾くんの面倒をみていた。というかお姉ちゃんごっこのような感じだった。
これはこれでかわいい。
僕は先ほど買ったペペロンチーノを食べることにした。
この小さなカップ麺は実は汁を残すとラーメンにもできる。汁を切るとパスタになる。
パスタの場合はスープがないので粉末は半分でいいのだが、僕は全部入れて辛くするの好きなのだ。
「粉全部入れるんだ。」
「この方がうまいんだよ」
「あ、そうだ。これも」
そう言って今泉さんは彼女が買った10円のベビースターを僕のペペロンチーノに入れた。
「こうするともっとうまいよ!」
僕は一口食べた。確かにこの新たに食感が加わって最高に美味しかった。
「これはうまいわ、天才!」
「でしょでしょ!」
「ゆっちゃんも食べる?」
「食べる!」
僕は無意識にアーンを今泉さんにしそうになったが瞬時に我に返り、プラ製のフォークを渡した。
パクッと口にパスタを入れた。
「うん!これはいけるね!お店出せる」
「来年はこれで屋台出すか!」
「確かにみんなでやったら楽しそう!」
謎に盛り上がっていた。
駄菓子屋は子供に帰れる場所なのかもしれないな。
まあ、まだたかが中学生なんだけどな。
帰り道、2人でお互い妹弟を連れて歩いているとなんだか大家族になったような気持ちになった。
「バイバーイ」
「バイバーーーイ!」
これで夏休み最終日は平和に終わるはずだった。
その日の夕方、僕は明日の学校の準備をしようとしていた。
こんにちはと言わんばかりに問題集が僕を見つめていた。
そう、僕は夏休みの宿題である数学の問題集のP14-P21まで解くことを忘れていたのだ。
僕は日下部に頼ろうと電話をしたがすでに別の友達に貸しているらしく断られた。
駄菓子屋行く暇なんてなかったのにさっきまでの自分を殴りたい。
こうなったら今泉さん頼りだ。
僕は頼れる友達が多い方ではないのでこれで断られると非常にまずい。
テレレ、レレレレン
「あ、もしもし梵だけど」
「どしたん?急に」
「あのー問題集を見せてくれないかなと…。」
僕はよろよろの声で聞いた。
「まあそんなことだと思った。」
「そしたら、」
「でも貸せない。だってうちもまだ終わってないもん」
「ええーーーダメじゃん」
「ダメって君もだからね」
「まあそうだけど、やべーどうしよ」
「そうだ一緒にやらない?」
「いいけど、どこで?」
「今からうち来れる?てかご飯食べた?」
「いける、というか行くしかない。ご飯はまだ。」
「うちで食べなよ、ママーー」
今泉さんは僕の返事を聞く前に母親に確認しているのが聞こえた。
「大丈夫だって!」
「わかった。そしたら準備してすぐ行くわ!7分くらいかな」
「ちょっと待って、20分後に来て!」
「了解、じゃ」
「うん、また」
僕は今泉宅で宿題をすることになった。
僕はとっと準備をした。
母さんにはもちろん伝えたが、昔よくこんな感じで遊んでいたから別になんてこともない。なんかいつもよりにっこりしていた気がしたが。
僕は一緒に勉強するとしか言っていない。夏休みの宿題をするというのは一応秘密にした。
バレてるかもだけど。
ピンポーン!
僕はチャイムを鳴らした。
するとどんどんと階段の音が聞こえた。
ガチャ!
「あら、いらっしゃい!」
出迎えてくれたのは今泉さんのお母さんだった。
久しぶりに見た気がするけど相変わらず綺麗なお母さんだ。
「お久しぶりです。お邪魔します」
「ずいぶん大きくなったね!あと真っ黒だね」
「部活がハードで」
世間話を済ませ僕は2階の今泉さんの部屋へ向かう。
何度か来ているので場所も覚えていた。
なんかガヤガヤ聞こえるけど大丈夫かな。
「入ってもいい?」
「ちょっと待って、もう終わる」
終わる?何してんだ?掃除かな
ガチャ
つづく
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願いします。




