愛二十六話 迷子同士
えーと。1人になったけど、これは大丈夫そ?
僕は渡辺を探しつつ、人が少ないところで今泉さんに電話してみた。
お祭りの最中だからか全く通じない。
やっぱり周りが騒がしいと僕は静かになってしまうようだ。
でもせっかくのお祭りだから、大好きな水飴屋さんに並ぶことにした。
簡単なパチンコで大当たりが出れば3つ、あたりで2つもらえるらしい。
外れても、もちろん一つもらえる。
僕の目の前の子供が大当たりで3つ当てていた。
意外とでるもんなのかな、なんて思いながら、僕もパチンコを打った。
パチン!
「これは逆にすごいからあたり!2つ選んでね!」
なんか釘に絶妙に引っかかって、判定不明だった。結果的におじちゃんの優しさであたりにして貰えた。
「ありがとうございます!」
元気よく僕は答えた。
「えーとじゃあ、あんずと……」
あんずは確定として、後一個はどうせなら違うのしようと悩んでいると…
「みかんで!」
「はいよ!」
横から誰かが代わりに答えた。
僕はお祭りの勢いで子供が勝手に答えたのだと思った。
「水飴欲しいの?」
僕は子供に聞いたつもりが隣いたのは浴衣姿の姫川さんだった!
「うん、欲しい!」
姫川さんが子供のような笑顔で答えた。
「かにゃかわさん?」
頭に浮かんだ、かわいい、似合ってる、姫川さん⁈が同時に出てしまいヘンテコな言葉を発してしまった。
「かにゃかわです!浴衣どう?」
ノリに乗ってくれた姫川さんが浴衣を見せるように僕に問いかける。
僕が今度こそちゃんと言おうと一呼吸して言おうと思ったら…。
「ほらほらどんどん進んで!詰まっちゃうから」
と店主のおじちゃんが割って入ってきてしまい、言えなかった。
僕たちは一旦人ごみを離れるために端の方へ向かった。
「はい」
「いいの?」
僕はみかんの水飴を渡した。
「うん、ちょうど2個当たったし」
「ありがとう、いただきまーす」
幸せそうに水飴を食べる浴衣姿の姫川さんを見られて僕は幸せだった。
「垂れそうだよ?」
「あっやべ」
姫川さんに見惚れていたせいで自分の水飴が大変なことになっていた。
慌てて溶け出した先に口をもっていく。
「ふふ、変な食べ方」
「ぬえ?」
僕はすごい食べ方をしていた。まあこれは仕方がない。垂れてしまうし。
「あれ今泉さんたちと一緒じゃないの?」
「途中で逸れちゃったんだよね?梵くんも逸れたの?」
「そーうだね。逸れちゃった。」
日下部と狭山さんのことは一応伏せておいた。
「うちら迷子同士だね」
「確かに」
「ちょうど、梵くん見つけられて良かった!」
「僕もです。姫川さんに会えて良かった」
ミスった。姫川さんの言葉は“見つけられて”だったのに僕が“会えて”と言ってしまった。
お互い気まずくなり目を合わせられない。
「梵くんって好きなんだね」
水飴の話であってるよね?
「う、うん水飴、好きで、す」
急に会話が初々しくなりこの気まずいモードから抜け出せない。
・・・・・・・・・。
つづく
ここまで呼んでいただきありがとうございます。
お祭りの時、足がとても速くなったように感じます。
今後もよろしくお願いします。




