第二十四話 真っ暗な部屋
階段を登り切って左に曲がった当たりだった。
先頭の今泉さんがある部屋の前で立ち止まった…。
「なに…ここ?」
その部屋だけドアがなく部屋の中が丸見えの状態だった。
暗いから中はあまり見えないが明らかに異様な雰囲気だった。
「なんでここだけドアがないんだろう?」
そう呟くと今泉さんは懐中電灯で部屋の先を照らした。
照らされた先は真っ黒だった。
焼けこげたのか、黒く塗り潰したのかはわからない。
だけど、真っ黒な部屋というのはあまりないと思う。
三人とも会話せずともわかった。
ここが一家無理心中のあった部屋なのだと。
しばらく沈黙が続いた…。
風の音もないほどの静けさが僕は嫌だった。
理由は緊張とともに嫌な予感がどんどん膨れ上がっていくからだ。
今泉さんがゆっくり部屋に近づいていってる。
吸い込まれるというか誘われているようにも見えた。
今泉さんは好奇心で動く生き物だから普段なら別に不思議に思わないが今回は違う気がした。
そう思った時には僕は今泉さんの手首を掴んでいた。
ハッとしたような表情で今泉さんが我に帰ったと同時に異変が起きた。
ビビビビビビビビビビビーーーー!
下の方から勢いよくテープを剥がすような音が聞こえた。
僕たちは小動物のように震え上がった。
幸いにも三人とも冷静で人かそれ以外の何かは置いておいてとにかく気づかれないようにすることを優先した行動をとった。懐中電灯を消し、身を潜めた。
「隣の棟だよね?」
「たぶん」
今泉さんがひそひそ声で僕に聞いてきた。
僕たちは音を立てないように階段を降り、団地の敷地内を後にした。
楽しい気分は消え去り、近くのコンビニに着くまでは誰も喋らなかったし、後ろを振り返らなかった。
かなり早足で歩いたため、コンビニに着いた時は足の裏が痛かった。
ようやく僕たちは会話らしい会話をしたがあの部屋の印象が全員違っていた。僕は真っ暗な部屋で姫川さんは散乱した部屋、今泉さんは奥にポツンとあった椅子と答えた。まあ何に注目したかの違いだと僕は思った。
会話には出さなかったが実は部屋の前にいた時、今泉さんが泣いているように見えた。気のせいかもしれないがそんな気がした。
テープの音については誰も触れなかった。わざわざ特定すると帰って怖くなりそうだ。
この日はこのまま解散。なんか後味の悪い日になってしまった。やっぱり心霊スポットなんて行かないほうが良かった気がした。でも2人だけで行っていたよりは良かったかな。
あれから数日が経つが僕には何の異変もない。ただ、部活がしんどいだけだ。
2人も特になにもないらしい。
ないに越したことはない。
ただ一個だけおかしなことがあった。あの団地は撤去が決定したらしく、あの部屋がなんだったのか少し気になって僕は工事現場を見に行った。もちろん昼間に。
工事の人にドアがない部屋のことを尋ねてみたが、ドアがない部屋はなかったと言われた。もしあの部屋にあのまま入っていたらどうなっていたのか。勘違いとかもあるかもしれないがそれ以上は僕も聞く気はなかった。
つづく
ここまで読んでいただきありがとうございました。
短編でホラー系も描こうかな。と思っています。
今後もよろしくお願いします。




